利用者からの不平不満
【Q】
こちらとしてはできる限りの対応をしているつもりですが、いつもある利用者から不平不満ばかり言われて、どうしてよいのかわかりません。
【A】
利用者からの不平不満にもいろいろあるでしょう。担当者に対する不平不満ばかりとは限りません。自分の思ったとおりにならない不満、サービスを利用しなければならない不満、制度や社会への不満など、さまざまな不十分さを感じ、それが不平不満につながっていると考えられます。利用者のこれまでの生活のしかたや、どのような思いで困難を乗り越えてきたのかなど、話を聞きながら、不平不満をもつに至った経緯を理解する必要があるでしょう。
不平不満を言うということは、その人なりのコミュニケーションの取り方、他者とのかかわり方なのかもしれません。自分のことをわかってほしいとか、自分にかかわってほしいという気持ちが強いからこそ、不平不満という形で表しているということもあるでしょう。あるいは、今まで組織の管理職などの経験をしてきた利用者であれば、部下や従業員などに対応するのと同じような態度を示しているのかもしれません。利用者の話を聞きながら、その人の対人関係、コミュニケーションの取り方を理解する必要があります。
このような利用者について、援助者としてはやっかいに思うかもしれませんが、反対に考えてみると、自分の考えを表明できる人、何とかしたい、してほしいという思いをもっている人というように理解することもできます。つまり、現状の課題に対して改善の必要性を認識している、その動機や意思をもっているということでもあります。そのように考えて、利用者のよい面や強み(ストレングス)を理解し、認めていくことが必要です。
また、利用者からの不平不満は、サービスを提供する組織の問題である場合も考えられます。援助者自身に向けられた不満であるとばかり思わずに、サービスの内容、提供の方法などを同僚や上司などと話し合って、サービス改善に努める姿勢が求められます。
出典:神山裕美・木戸宜子編著『あれ?困った!どうしよう!? 対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年