介護事故と法的責任
2010年08月06日 09:40
【Q】
介護中に事故が起きた場合、どのような責任が生じるのでしょうか。
【A】
在宅や介護施設で事故が発生した場合、法的には民事・刑事・行政の3つの責任が問題となります。そのほかに、社会的責任と道義的責任も挙げられます。
●民事上の責任
事故発生時に、1事故の結果を予見すべきであったか(結果予見可能性)、2事故の結果を回避すべきであったか(結果回避可能性)の2点から、過失を判断されます。過失の有無に関係ないく損害(結果)が発生した場合、因果関係はないと判断され、責任を負うことはありません。
●刑事上の責任
介護事故において刑事上の責任、行政上の責任を問われることは極めて稀ですが、内容は次のようなものとなります。
・業務上過失致死死傷罪
5年以上の懲役または禁固もしくは20万円以下の罰金
・個人責任
経営者は責任を問われることは少ない
●行政上の責任
・業務の停止
行政機関より老人福祉法による認可の取り消し、介護保険法における指定の取り消しなどの処分がなされる
出典:篠田道子 著『改訂 質の高いケアマネジメント』中央法規出版、2008年