デイサービスにおける基本マニュアルとは
【Q】
通所介護計画を作成するには、まず「基本マニュアル」をつくることが必要と聞きました。どのような点に気を付けて作成すればよいでしょうか。
【A】
デイサービスでは、ケアマネジャーによる居宅サービス計画に沿って、個別計画である通所介護計画を作成する必要がありますが、まずは各事業所におけるケアの理念が職員間で共有されていること、その理念をベースとした「基本マニュアル」や「ケアマニュアル」がなければなりません(施設によって呼び名は異なることもあります)。通所介護計画は、基本マニュアルでは対応できない利用者の個別ニーズに応えるものですが、まずは基本となるケア内容がはっきりしていないと、個別の計画も意味をもちません。
利用者にサービスを提供するうえでもっとも重要な目標・基本理念は、利用者の「安全・安心」「自立支援」「快適」を確保することです。これらを基準とし、具体的には、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(厚生省令)や「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(厚生省通知)などの国による基準にのっとり、基本マニュアルを作成していきます。
●基本マニュアルの例
事故発生対応マニュアル
感染症対応マニュアル
身体拘束方針マニュアル
苦情対応マニュアル
個人情報保護マニュアル など
事故発生対応マニュアルを例として考えると、上記基準の内容から、以下が作成のポイントとなります。
●市町村や利用者の家族へ連絡するとともに、必要な処
置を講じること
●状況と処置について記録をすること
●損害賠償事故があった場合は、損害賠償を行うこと
マニュアル作成の手順にこれといった決まりはありませんが、どの時点で、誰が、何を、誰に対して行うかをはっきりさせます。どのような事故が起きても全職員が同じように対応することができ、かつ、利用者や家族への重要事項説明の際に活用できるものでなければなりません。省令などの法律の文章は読みづらく理解が難しいものですが、できるだけ目を通すように心がけることが大切です。
その他のマニュアルも同様に省令などに則して作成していきますが、感染症対応マニュアルは医療機関に、苦情解決マニュアルは損害保険会社などに、個人情報保護マニュアルは弁護士や司法書士などに相談をして、専門的な立場からアドバイスをもらうことも必要でしょう。
(出典:長崎県老人福祉施設協議会デイサービス部会監修、白澤政和編集『通所介護計画のつくり方 利用者への質の高いサービス提供のために』中央法規出版、2006年)