デイサービスにおけるケアマニュアルとは
【Q】
通所介護計画を作成するためには、基本マニュアルとともに「ケアマニュアル」が必要とのとのことですが、「マニュアル」というと、利用者一人ひとりの個別性を無視しているように思えてしまいます。
【A】
「ケアマニュアル」とは、職員が利用者を援助する際に、統一したケアを提供できるようにするためのケアの手順を記したものです。
通所介護におけるサービスは、入浴や排泄をはじめとしたさまざまなケア業務に分化することができます。これら個々のケア業務を円滑かつ適切に行うためには、それぞれのケアの目的が明らかにされて、手順が標準化され、それらの内容が各職員間に共通認識されることが必要です。
●通所介護における基本的なケアマニュアルの例
送迎マニュアル
移動マニュアル
健康チェックマニュアル
排泄マニュアル
入浴マニュアル
特浴マニュアル
食事マニュアル
活動マニュアル
あいさつマニュアル など
ただ、この「マニュアル」という言葉の響きから、あたかもすべての利用者に画一的なサービスを実施するためのものであるかのように誤解されることがありますが、決してそうではありません。利用者に対して一定のケアレベルを確保できなければ、そしてそれを示すためのケアマニュアルがなければ、個々の職員が個々の判断で、さまざまな方法や手続きによってケアが展開されることになり、一定のケア水準を確保できないことにつながります。ひいては、事故が発生したり、利用者や家族に混乱をきたすという事態に陥るリスクが高くなってしまうのです。
また、介護サービス情報の公表制度では、さまざまなケアマニュアルの有無が公表項目の一つにもあげられています。いわばケアマニュアルは、その事業所のプロとしての業務レベルを示す一つの最低基準ともいえるでしょう。
(出典:長崎県老人福祉施設協議会デイサービス部会監修、白澤政和編集『通所介護計画のつくり方 利用者への質の高いサービス提供のために』中央法規出版、2006年)