通所介護計画をつくりたい
【Q】
デイサービスの相談員です。利用者一人ひとりの通所介護計画をつくらなければならないことはわかっているのですが、実際は同じようなものになってしまったり、ひどい場合は計画がないこともあります。
【A】
デイサービスでは、ケアマネジャーによる居宅サービス計画に沿って通所介護計画を作成しなければなりません。これは国の省令でも規定されおり、計画の作成は義務であることを、施設長をはじめとした職員全員がきちんと認識する必要があります。また、計画は利用者の意向を踏まえなければならず、家族への説明責任もあるのです。
しかし、ある調査では通所介護計画を作成しているデイサービスは全体の約6割という結果もあります。通所介護計画は、本来すべてのデイサービスで一人ひとりの利用者のためにつくらなければならないのですが、「義務だからつくる」という受け身の姿勢では、「計画のための計画」になってしまいかねません。通所介護計画は、適切なサービスを継続して提供するために必要なものですし、利用者や家族が安心してサービスを利用してもらうための大切なツールです。「利用者のニーズを満たすために、必要だからつくる」という、積極的な位置づけに変えていく必要があります。
ところで、通所介護計画という個別計画を作成する前に、まずは各デイサービスにおいて利用者へのケアの理念が確立され、それらが職員間で共有されていること、そして、その理念をベースとした、すべてのケアの基本となる「基本マニュアル」や「ケアマニュアル」があることが必要です(施設によって呼び名は異なるかもしれません)。ここで言う「基本マニュアル」は、例えば個人情報保護や感染症予防、苦情対応などすべての利用者に共通する注意事項、「ケアマニュアル」は、食事や入浴、排せつ、アクティビティなど、基本的なケア業務の具体的手順を示したものです。通所介護計画は、これら基本的なマニュアルでは対応できない利用者の個別ニーズに応えるものですが、まずは基本となるケア内容がはっきりしていないと、個別の計画も意味をもつことができません。
よい通所介護計画を作ろうとする意欲はもちろん大切ですが、まずは施設全体として何を目標にケアを行っているのか、基本的なケアのあり方について今一度立ち戻りながら検討をしていくことも必要です。
(出典:長崎県老人福祉施設協議会デイサービス部会監修、白澤政和編集『通所介護計画のつくり方 利用者への質の高いサービス提供のために』中央法規出版、2006年)