ニーズ把握のばらつき
2010年07月05日 09:10
【Q】
事業所には複数のケアマネジャーがおり、ニーズの把握で食い違いが起きることがあります。どのように視点の統一を図ればよいのでしょうか?
【A】
こうした問題の背景には、ケアマネジャーの「基職」が多くあります。それぞれの職種での視点が得意分野となり、それによりニーズの把握も基職の視点から捉えがちになります。これはかなり問題といえます。なぜならば、本来は対象者の抱えるニーズは固有かつ特定のものであり、それはどのケアマネジャーによっても共通に導き出されなければならないはずであり、さらには、固有かつ特定のニーズを解決していかなければ望む暮らしは実現されないはずだからです。
この問題は、ケアマネジメントの機能が十分に理解されていないために起きているといえます。制度上、ケアマネジャーの表面的な役割のみが与えられ、それをこなすためには基職で得た知識と経験に頼らざるを得ない状況が招いたものでしょう。今後は、ケアマネジメントの基礎をしっかりと身につけ、ケアマネジャーの本質的な役割を学んでいくことで、徐々にではありますが基職に捉われないケアマネジメントが可能となるでしょう。
出典:能本 守康著『改訂 初めて学ぶケアマネジメントテキスト』中央法規出版、2009年