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福祉マイスターへの道 毎日更新

DVの被害を受けた子ども

【Q】
 DVのある家庭にかかわっている援助者ですが、DVのあった家庭の子どもには、どのような影響があるのでしょうか? かかわり方も教えてください。

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【A】
 DV家庭における子どもは、“忘れられた被害者”といわれ、これまであまり問題にはされてきませんでしたが、実は子どもたちは、父親と母親がいさかいをする現場を見たり聞いたりしているのです。2004(平成16)年の児童虐待防止法の改正によって、ようやく子どもへの心理的被害について注目されるようになり、DVと児童虐待の問題がリンクして考えられるようになってきたので、今後の両方の領域の動きが期待されています。
 子どもへの影響としては、DV家庭で育った男子は暴力への親和性が高くなり、女子を殴ってもよい、支配してもよい、男にはその権利があるということを学習してしまいます。女子は異性との関係で暴力を振るわれるのが、そうでない人の4倍も増えます。男子も女子も、子どもたちは暴力を使うのが家庭の機能の仕方であると学び、暴力的な人間関係に親和性が高くなってしまうのです。
 身体的な損傷だけでなく、大人からの適切な情緒的サポートの欠落によって心理的問題も起こります。罪悪感、怒り、抑うつ、不安、悪夢、攻撃性と破壊性、極端なイライラ感、他者との関係の困難性、共感性のとぼしさ、自尊感情が低い、衝動コントロールがまずい、無力感、睡眠障害、孤立、自殺、ひきこもり、過度に薬物・アルコールに近づきやすい、不適切な性的逸脱行動、自分には隠しておかなければいけない恥ずべきことがあるという感覚をもつなど、多くの症状を呈します。青年期には、ひときわ自尊感情や自己の価値観が傷つきやすいこともあり、男女ともにDV予備軍になりやすくなります。
 子どもに問題が生じていれば、児童精神科医の診断を仰ぎ、適切なケアを行います。しかし、子どもを守る立場の親が心理的に回復していけば、おのずから子どもは変化するので、子どもとともに暮らす被害者の治療やケアが優先するということは、いうまでもありません。
 なお、注意しなければならないのは、加害者から離れた被害者が子どもと暮らすようになって、今度は加害者に変わる可能性もあるということです。DV被害者の母子家庭は、第三者の関与や子どもの安全確認ができるようにして、家庭の風穴を開けておくことが大切になります。

出典:徳永雅子著『子ども虐待の予防とネットワーク―親子の支援と対応の手引き』中央法規出版、2007年


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