動作が遅い子ども
【Q】
保育所の保育士です。5歳の男の子ですが、何をするのにも他のお友達から一歩行動が遅れて、動作が遅いようで気になります。親御さんも気にしていて、「うちの子はのろくて…」とよくぼやいています。
【A】
人間には個性があり、生活や動作のリズムも人によって違うものです。何でもきびきびと手早くこなしてしまう人もいれば、何をするのもおっとりゆっくり型の人もいます。 子どもの場合も同じで、発達の遅れなどがあって動作がゆっくりという場合をのぞけば、多くはその子の生来の個性の範囲ととらえてよいでしょう。
子どもの動作がのろいので困るという場合には、本人の個性もさることながら、まわりの大人の評価があるようです。お母さんが何でもてきぱきとこなすタイプだと、子どものペースは不器用としかうつらず、ついつい「早くしなさい」「時間ですよ」とせきたてられることになりがちです。いつも「動作がのろい」「ぐずな子」と評価されていると、子どもも自分はそんなものだと思い、自信をなくしたり、劣等感をもったりしてしまいます。
大切なことは、ゆっくりペースの子どもの個性を認めてあげることではないでしょうか。親御さんにもそのようにアドバイスするとともに、園の生活でもその子のペースを尊重して見守ることを基本とし、あまりに周囲から遅れ支障がでるような場合にはフォローをするとよいでしょう。
あまり周囲ががみがみと言い続けていると、子どものほうにも耳にたこができて、ますます言うことをきかなくなり、何もしたくなくなるものです。子どもの自立のためには、せかすだけでなく、時には何かを任せてみるなど、ちょっと視点を変えた働きかけもよいのではないでしょうか。
出典:巷野悟郎監修、こどもの城小児保健部編『知りたい! 子どものからだと心 身近なQ&A』中央法規出版、2001年