ことばの遅れ
【Q】
ファミリーサポートのボランティアをしています。3歳の男の子で、言われていることは理解しているようなのですが、まだ片言しかしゃべれず、ジェスチャーで表現しようとします。親御さんも気にしているようです。
【A】
子どものことばの遅れには2種類あります。
一つは、言語理解は年齢相応にできるのにしゃべれない子どもです。男の子に多く、同時に、歩きはじめが遅かったり、箸がうまく使えない、食べ物をあまり噛まない、よだれが出やすい、食べ物がのどにつかえやすいなどの問題をもつ子も少なくありません。この場合の原因は、運動発達の遅さ、または精細な運動の不器用さなので、発達するにつれて次第にしゃべることも上達してきます。
対応法としては、口やのどの運動発達を促すために、子どもが好む食べ物でしかも噛まざるを得ないもの(焼き肉、たこ、スルメなど)を用意することです。全身的な運動の発達も大切ですので、指や手、足などを使う遊びも大いにさせてください。
コミュニケーション上は、発音が悪くても、子どもの言わんとすることを十分聞いてやることが必要です。発音のまねは本人自らがするのはいいのですが、無理にまねをさせるのはやめましょう。また、日常生活の体験を豊かにし、幅広く社会や自然での体験をさせるなかで、子どもが関心を寄せることや感動したことをていねいに説明したり、語り合う機会を増やすことも有効です。保育園や幼稚園などの集団に入ると、子ども同士のさまざまなやりとりやかかわりが増えますので、周りからの刺激を受けて言葉の表現も発達しやすくなります。
もう一つには、言語理解が悪いためにことばの発達が遅れている場合があります。原因としては、聞こえが悪い(難聴)、知的障害、情緒発達の遅れ、情緒や言語刺激の不足などがあげられます。経過を観察し、必要に応じて聴力検査を勧めたり、情緒の発達も目立って遅れているようなら、時期をみて専門家を受診するとよいでしょう。
出典:巻野悟郎監修、こどもの城小児保健部編集 『知りたい! 子どものからだと心 身近なQ&A』中央法規出版、2001年