思い通りにならないと暴れる子ども
【Q】
保育所で保育士をしています。今年から入った4歳の女の子ですが、思い通りにならないことがあるとお友達をたたいたり蹴ったり、物を投げたりするので、最近ではすっかり乱暴な子と思われ、お友達とも遊べていないようで心配です。
【A】
3歳を過ぎると、友達とのけんかや争いごとも増えてくるのですが、この時期はまだ自分の気持ちを十分に表現できるほどことばが発達していません。感情をコントロールすることも難しいため、つい手が出てしまうことはよくみられます。
女の子の乱暴な行動が気になり始めたのはいつ頃からでしょうか。そのような時期やきっかけがあるとすれば、そのときに非常にストレスを感じていたことが考えられます。たとえば、集団生活のなかで初めて、自分の思い通りにならないこと、我慢しなければならないことをたくさん体験しているかもしれません。先生や友達と新しい関係をつくることがあまり得意でなかったり、朝が早い通園生活のパターンにのれていないことも考えられます。
このような場合、周りはつい感情的に叱ることが多くなりますが、これでは問題の解決になりません。乱暴な行動だけに目を奪われず、まずは子どもの生活全体を見回して、どこかに無理をさせている部分がないか点検してみてください。また、なぜ乱暴なことをしたのかよく話を聞き、その子なりの理由を知ることもその子の置かれている状況を理解するのに役立つでしょう。
実力以上のことを要求されているなど、ストレスになっていることがわかったら、それをやめて、環境を調整してあげることが大切です。
なお、乱暴な行動の背景には、発達の遅れによって言われていることが十分理解できなかったり、器質的な原因があって落ち着けない場合も考えられます。思い当たることがある場合は、一度専門家に相談されることをお勧めします。
出典:巻野悟郎監修、こどもの城小児保健部編集 『知りたい! 子どものからだと心 身近なQ&A』中央法規出版、2001年