「福祉」で儲けるのは悪いこと?
2010年04月26日 10:00
【Q】
有料老人ホームの営業をしています。上司からはいつも「少しでも多く契約を取ってこい!」と言われますが、正直なところ、相手が希望していないところに押し売り的なことをするのは気がひけています…。
【A】
商売の目的は「儲ける」ことです。儲けることに悪いイメージをもっている人は、本当によい商品やサービスを提供したことがない人です。本当に身体が震えるほどの感動をもって購入した商品やサービスは、「値段」とは異なる世界に存在します。儲けはお客様の喜びの対価なのです。お客様に誰よりもたくさん満足と感動を届けられた人が一番儲けられるのです。これは決して市場経済のなかだけの話ではなく、福祉業界にもあてはまることです。
福祉に携わる人には、お金儲けを通じて自分自身が幸せになることの他に、利用者の自立に寄り添う」という最大の強み(喜び)があります。私たちが儲けるのは、私達のためだけではなく利用者のためでもあるのです。この強みは一般の企業人にはない福祉業界だけのものといえます。それゆえ、「お金儲けのために福祉をやっているわけではない」という思いは、決して清廉ではなく、むしろ利用者の自立をないがしろにしているということを自覚する必要があるのです。
出典:内藤 晃著『施設長の資格!』中央法規出版、2009年