高齢者旅行の費用
【Q】
要介護高齢者と一緒に旅行に行くと、どのくらい費用がかかるものでしょうか?
【A】
旅行の内容によって、費用はさまざまです。大きな比重を占めるのは、(1)交通費、(2)同行職員の費用、(3)(宿泊が伴う場合の)宿泊料金です。
(1)交通費は、施設(事業所)の送迎車やレンタカーを利用する、自治体の無料の福祉車両を利用することを検討します。(2)職員の費用は、施設の経費で対処することは難しいと思いますので、費用対効果や安全確保等の要素を考慮して、できるだけ費用削減を心がけます。あるデイサービスでは、グルメ日帰り旅行を企画して、職員やボランティアの食事を一部別メニューにするなどの工夫がなされていました。
さらに、交通機関の費用や宿泊代、入場料金などについては、各種割引制度や割安のシーズン利用等で削減することもできます。インターネットで情報検索をしてみてください。自治体によっては、宿泊料金の助成や市営バスなど貸し切りへの支援料金制度があります。
利用者や家族が参加しやすくするために、旅行貯金を設定している施設もあります。このように、創意工夫によって、納得できる費用での旅行が現実のものとなっていきます。
〈例〉施設の送迎車利用の日帰り旅行費用項目:
1.食事代(1500~3000円 レストランとメニューによります)
2.入場料(1000~5000円 入館先によります)
3.有料道路料金(片道700~3000円 車両の大きさと利用道路、区間によります)
4.旅行傷害保険料(300円から 保険の項目と補償金額によります)
5.そのほか下見経費などの準備にかかる費用(内容や程度によります)
※上記の条件で9名が旅行する場合、1~4の合計で約2960円です(低い料金で起算)。小型の貸切バスを利用すると、バス代4万円+運転手の昼食代1500円などが加算され、単純計算で1名当たり約4620円追加になります(費用合計は約7580円)。旅館に1泊する場合、およそ7000円~1万5000円に加え、昼食代が1回追加になります。また、小型貸切バスの場合、1日分の料金と運転手の宿泊代・2日目の昼食代が加算されます。したがって、7000円の宿に1泊する場合、単純計算で約2万530円になります。
出典:田中 義夫著『高齢者の外出・旅行サポートガイドブック』中央法規出版、2007年