通告は難しい?
2010年04月07日 10:00
【Q】
通告しなければいけないといっても、自分がその立場になったら、難しいとも思います。実際に通告は進んでいるのでしょうか
【A】
虐待の通告は国民の義務であると条文に謳われていても、虐待を疑うことは難しいものです。なぜ難しいのか考えてみましょう。
まず、虐待なのか、事故なのかが判断しにくいことがあげられます。また、親の説明に疑問を挟むのはいけないのではと思ってしまいます。虐待だとしても、この先どう対処すればよいのかわからないので手をつけたくないなど、虐待にはいつも否認の病理がつきまといます。虐待を認めたくないという“否認”は、発見した誰の心にもあるものですが、その心理的な規制は勇気をもって外さないと通告には至りません。
2004(平成16)年に実施した地域住民の意識調査(福岡市)では、通告義務を知っているのは79.6%、必ず通告すると答えているのは24.9%で、実際に通告経験があるのは、そのうちの4.8%でした。通告しない理由は、子どもや家族と周囲の状況が悪化するのではと危惧することや、通告後の事態が不明だから、などと答えています。
出典:徳永雅子著『子ども虐待の予防とネットワーク―親子の支援と対応の手引き』中央法規出版、2007年