地域調査の必要性
【Q】
「ケアマネジャーなら、自分の地域を知っていなければならない」と言われましたが、具体的にはどのような点を把握しておけばいいのでしょうか?
【A】
自分の地域を知るには、地域調査の実施が必要となります。地域調査とは、ケアマネジャーが活動領域としている地域を調べることです。これから活躍するために自分のフィールドを熟知しておく作業といえます。また、刻々と変わるであろう地域状況を、常に把握しておくことでもあります。
具体的に何を調べるかを簡単に見てみましょう。
(1)地域の範囲と地域全体の状況調査
地域には都道府県から近隣単位まで幅が広いものですが、どの範囲で調査を行うかは目的によってことなります。例えば高齢化率ならば都道府県単位と市区町村単位での割合を調べる必要があるでしょう。さらには、どの地区にはどれくらい高齢者が住んでいるといった調査も必要でしょう。
これは事業を実施する上での市場調査に役立ち、担当件数などの予測にもつながります。
(2)地域の特性
どのような風土かを知ることです。新しい街であるとか、移住住民が多いとか、歴史、風習なども知っておくとよいでしょう。地域の特性を知ることで、地域の高齢者の「こだわり」「生活習慣」を大まかに把握することができます。
(3)地域の問題や課題
過疎、財政──それぞれの地域には、問題や課題が存在します。抱えている問題を知り、それらが地域住民にどのような影響を与えているかを知る必要があります。それが対象者や家族の心理に影響をおよぼしていることもあるからです。
(4)地域の社会資源状況
支援の前に必ずしておかなければならないのがこれです。フォーマルサービス、インフォーマルサービスのほか、広義には、保健・医療・福祉サービス以外の制度を含む場合があります。さらに住民意識も社会資源ということができます。自分なりに情報を整理しリストを作成しておけば、実際にケアマネジメントを行うときに、スムーズな支援が可能となります。
(5)支援対象者の状況
支援の対象となる要援助者の状況を把握します。支援を必要とする人がどのくらいいるのか、実際にどのようなサービスを必要としているのかを調べます。
調査は大変な作業です。しかしこれらの調査を怠れば、地域の状況を何も知らずに対象者と向き合うことになります。一朝一夕にはいきませんが、自分の地域の調査からコツコツと始めましょう。
出典:能本 守康著 『改訂 初めて学ぶケアマネジメントテキスト』 中央法規出版、2009年