関係者間の「調整」
【Q】
ケアマネジャーの仕事に必要とされることに「調整」がありますが、調整時にはどのような点に注意すればいいのでしょうか?
【A】
「調整する」(コーディネート)という作業は、ケアマネジメントの機能のなかでも最も頻繁に行われ、かつ重要な役割といえるかもしれません。ケアマネジメントの目的のひとつでもある「望む暮らしの実現」に致るまでには、解決しなければならない課題が山積しています。それらを一つひとつ解決していくなかで、絡まった糸をほぐすかのように個々の問題を「調整」していくのです。
調整は、ケアマネジメントの各過程において常に行われます。実際の対象者とのかかわりのなかで、それぞれの段階で行われる調整の役割を見ていきましょう。
(1)ケアマネジメントの初期の段階で行われる調整
対象者や家族への「説明」が挙げられます。支援の内容や目的を理解しやすく伝えるには、必要な情報を吟味し、その内容も対象者の理解力によって変えるという「調整」機能もあわせて活用することになります。初期段階の調整は、困難な様相を呈することも考えられます。であるからこそ、労力と時間を惜しまず調整を行うことがとても重要な時期でもあるのです。
(2)サービスを実施するにあたっての調整
解決すべき課題が明らかになり、その手段として社会資源を利用する段階での調整です。どのようなサービスが必要なのか、その特色や役割は難なのかを、対象者や家族に説明します。利用が決まれば、利用に向けた手続きを行います。これらを「社会資源の調整」といいます。
利用する社会資源が決まったら、以下のような具体的な調整が行われます。
・カンファレンスを開催し、顔合わせを行いチームを形成し情報を共有する
・対象者や家族の状況や意向をサービス機関に事前にしっかりと伝える
・サービス機関側の専門的意見を求める
・サービス機関側の疑問・質問をクリアにする
・対象者に負担とならないようなサービス日程や時間を設定する
などが行われます。
(3)サービスが開始されてからの調整
予定通りにサービスが提供されているか、予定通りに効果が出ているか、対象者や家族は満足しているかなどを確認し、不具合が生じた際には、軌道修正のために調整を行わなければなりません。
このように、ケアマネジメントのそれぞれの段階におけるかかわりのなかで「調整」は繰り返し行われていくのです。
出典:能本 守康著 『改訂 初めて学ぶケアマネジメントテキスト』 中央法規出版、2009年