スクールソーシャルワークにおけるコミュニケーションのあり方
【Q】
スクールソーシャルワーカーが気をつけるべき、コミュニケーションのポイントは何でしょうか。
【A】
スクールソーシャルワーカーに限らず、対人援助職にはすべからく専門的なコミュニケーション技術が求められます。スクールソーシャルワークに特別に求められるコミュニケーション技術というものはなく、まずは、信頼関係を築き、基本的な面接技術を習得する必要があります。子どもは信頼していない人間に対しては、たとえ親から虐待を受けていたり、いじめを受けていたりしても、決して本当のことを言いません。しかし、いったん信頼関係が築かれると、驚くような深刻な状況を訴えることもあります。
信頼関係を結ぶポイントとしては場数を踏むことしかありません。自分の面接の様子をビデオに撮って検証したり、演習のロールプレイをくり返したりしてフィードバックを重ねて身につけていきます。それによって自分の相手への接し方の傾向を客観的に知ることができ、改善点を把握できるようになります。
スクールソーシャルワークにおいては、保護者や教員、地域機関など、さまざまな関係者とコミュニケーションをとる必要があますが、相手は必ずしもワーカーに対して良い印象をもっていない場合もあり、時には対立することもあります。ここでも、子どもへの支援のために協働するよう関係調整するコミュニケーション技術が求められます。
また、子どもとの面接においては、問題の原因をはっきりさせようとして否定的な話になってしまうことが多いようです。「なぜそのようなことになったのか?」ではなく、努めて、「これからどうしたいのか?」「今の状況をどう思うか?」などと、目標設定させたり、話しやすい雰囲気をつくるなどの配慮が必要でしょう。
参考:日本学校ソーシャルワーク学会=編集 『スクールソーシャルワーカー養成テキスト』 中央法規出版、2008年