スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの違い
2010年03月01日 10:00
【Q】
スクールカウンセラーの存在は以前から知っているのですが、実際のところ、現場ではスクールソーシャルワーカーとの仕事の区別がはっきりしていません。
【A】
スクールカウンセラーは臨床心理の専門職です。心理検査や心理療法を用いて心の問題を改善・解決するよう働きかけ、個人に対する支援を中心とすることにその特徴があります。
一方、スクールソーシャルワーカーは、社会福祉の専門職であり、主に、子どもを取り巻く環境である家庭や学校、地域社会の改善に向けて調整・働きかけを行います。スクールカウンセラーよりもより社会的な動きをとるのが特徴です。
しかし、最近はスクールカウンセラーも、より心理的支援の効果を上げるためには、子どもの置かれている環境への理解が必要であるとのことから、教師と連携したり家庭訪問したりして、面接室を出て働きかけを行うこともあります。また、スクールソーシャルワーカーのほうも、その基本的な職務として、ニーズをくみ取るためにクライアントと面接をし、受容や傾聴といったカウンセラー的な面接技術を使うこともあります。
このように、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの業務は、実践上明確に区別をすることは難しい側面はありますが、それが両者の特徴ともいえるのです。いずれにしても、お互いの長所を生かしそれぞれの特性を尊重しながら、スムースに連携できる体制を整えることが両者にとって専門性を生かすことにつながるといえます。
参考:日本学校ソーシャルワーク学会=編集 『スクールソーシャルワーカー養成テキスト』 中央法規出版、2008年