スクールソーシャルワークの歴史
2010年03月02日 11:00
【Q】
最近、スクールソーシャルワーカーについてよく耳にするのですが、どこの国で始まり、いつ頃から日本で広まってきたのでしょうか。
【A】
スクールソーシャルワークの源流は、19世紀末から始まったアメリカのセツルメント活動にあるとされています。当時、移民の子ども達の多くは貧困のために働かざるを得ず、セツルメント運動家は移民への生活支援だけでなく、子ども達への就学問題にも乗り出しました。この流れを受けて、1900年代初頭、スクールソーシャルワーカーとしての活動がニューヨーク、ボストン、ハートフォードの地で始まり、1913年のニューヨークにおいて、訪問教師(visiting teacher)活動として制度化されました。その後、子どもの教育権を保障するために、学校と家庭、地域の橋渡し役としてスクールソーシャルワーカーが配置され、この制度は全米に広まり今日に至っています。
日本におけるスクールソーシャルワークの歴史は必ずしも明らかにされていませんが、戦後の学校教育の現場にその萌芽をみることができます。例えば、高知県の長欠児童対策である訪問教師制度で、この訪問教師制度は全国各地で取り入れられ、不就学児童対策の役割を担ってきました。高度経済成長期以降は、子どもの問題の中心が貧困から非行・不登校へとシフトするなか、スクールソーシャルワークの存在が一般にも知られるようになり、各自治体や国においてもスクールソーシャルワークに関連する事業が行われるようになりました。そして、2008年には文部科学省によるスクールソーシャルワーカー活用事業がはじまり、スクールソーシャルワーカーが本格的に配置される環境が整ったのです。
参考:日本学校ソーシャルワーク学会=編集 『スクールソーシャルワーカー養成テキスト』 中央法規出版、2008年