自立支援とは。ADLとQOL
2010年02月15日 09:00
【Q】
利用者の支援では「自立支援」が大切と言われます。できることはなんでも自分でしてもらうのが自立支援なのでしょうか?
【A】
自立支援とは「できることは自分でしてもらい、介護者は、できない部分を補う。そして、できない部分もできるように援助する」ことである、と理解している人も多いと思います。
間違いではありませんが、「自分でできる」という意味は、「ADL」上のことを指しています。しかしながら、単に能力だけで判断し、「できることは自分で、できないことはこちらで」という対応をしてしますと、実際の現場では受け入れられないことがあります。単に「できる・できない」だけをみて、「援助する・しない」を決めてしまうと、本人の意思や価値観を無視してしまう結果にもつながる恐れがあるのです。
「自立支援」とは、ADL上の能力と、それを活用するQOLが伴わなければならないのです。そのどちらかに偏った見方をしてはいけません。以前の習慣や本人の価値観(意欲・希望・こだわりなど)を把握し、それを取り戻すために、できる部分を使って、さらにはもっとできるようにして、本人の力で成しえてこそ真の「自立」がかなうのです。そして、そのためにどうしてもできない部分があるならば、そこを補うことが「自立支援」になるのです。
出典:能本 守康 著 『改訂 初めて学ぶケアマネジメントテキスト』 中央法規出版、2009年