認知症者と家族の調整
2010年02月12日 09:00
【Q】
認知症者を退院させる際に、特に気をつけることはありますか?
【A】
認知症になると、その人の元来の性格が顕著に現れてきます。腰の低い人は何事もていねいにお礼を言うようになり、頑固な人は文句が増えるようになります。そして、認知症者の入院前の生活ぶりが、入院中の家族の対応や家族関係にも影響を与えやすいものになります。
家族をとても大事にしていた人は、入院中の家族の面会も多く退院後の相談もスムーズに行くことが多くあります。ところが、家族関係の悪かった人は家族の面会が少なく退院調整も難しくなります。長男や嫁の立場、同居していない家族の意見などから、家族内の力関係まで見えてくるものです。
ソーシャルワーカーは、本人を取り巻く家族関係を見極めるアセスメント(ソーシャルワークにおける事前評価・初期評価を意味する。問題解説に向けての支援を始める前に、解決すべき問題は何かを情報収集し、現在の状況を総合的に判断する)能力も求められることになります。
出典:名城 健二 著 『精神科ソーシャルワーカーの実践とかかわり―御万人の幸せを願って』 中央法規出版、2007年