統計の必要性
2009年12月21日 09:00
【Q】
施設内で事例発表をするように言われましたが、その際上司から「きちんと統計をとるように」と言われました。統計って、それほど大切なのでしょうか?
【A】
一般に統計というと、ニュースなどで目にする政府の統計やシンクタンクなどの調査が思い浮かぶと思います。
経済の分野はいうまでもなく、政府や自治体の政策決定、医療の分野でもエビデンス(データ)に基づく治療など、あらゆる分野における企画・立案・実行の根拠として統計データが用いられるようになってきました。平成16年4月には社会調査士という資格ができたように、調査・統計の重要性はますます高まってきています。
このような社会の動きを背景に、「統計データが読める」ということは、今後、福祉・医療の世界においても、そのマネジメントの観点から非常に重要になると思われます。
さらに、今後の介護においては、専門家として科学的な根拠に基づいて自らの介護の評価をすることが求められてきます。そのためには、介護の記録を客観的な統計資料として残すことが必要になりますし、統計処理に適した形式で介護データを収集するということも必要になってきます。
ですから、統計とともに大事になるのは、統計資料を用いる目的(問題の探索、介護の実践、介護の評価)、研究・実践のモデル(どの要因が何に効果があるかの仮説)、データ収集の方法(観察、調査、実験、臨床)、そして結果の利用法(介護の方針を変更する根拠として、どのように結果をケアプランに組み込むか)などです。これらのことも十分に検討しておきましょう。
出典:佐藤眞一 編『すぐに役立つ事例のまとめ方と発表のポイント』中央法規出版、2006年