医療保護入院
2009年12月08日 09:00
【Q】
医療保護入院とはどのようなものなのでしょうか? PSWとして気をつける点などは何でしょうか?
【A】
医療保護入院は、精神保健福祉法第33条に規定されています。入院治療が必要な状態であっても精神障害者本人が入院を拒んだ場合、保護者の同意で入院させることができる入院形態です。その際は必ず、精神保健指定医の診察が必要となります。
入院者に配偶者がいれば民法上でいう絶対的扶養義務者となり、自動的に配偶者が保護者となります。これを「医療保護入院の第1項入院」といいます。ところが、入院者に配偶者がいない場合は、通常親族のなかから保護者として適任と思われる一人を選任しなければなりません。選任手続きはまず、東京の法務局に保護者として適任かどうかの確認を書類上で行い、問題がなければ法務局から送られてくる書類を添付して、住民票謄本等と一緒に所轄の家庭裁判所に書類を提出します。そこで、保護者として手危難の科という書類上の審判が行われます。入院して4週間以内にこの手続きをすべて完了しなければならず、精神科ソーシャルワーカー(PSW)にとって入院者の人権を擁護する立場から重要なことだと理解しながらも、手間のかかる業務となります。
基本的に家族に対応してもらいますが、高齢の両親が保護者となる場合などは、PSWが手助けせざるを得ないときもあります。
出典:名城健二 著『精神科ソーシャルワーカーの実践とかかわり―御万人の幸せを願って』中央法規出版、2007年