障害者の就労は難しい…
2009年11月02日 09:00
【Q】
現在の不況のなか、多くの企業では人件費削減のために社員のリストラが進められています。障害者雇用の必要性が叫ばれていますが、障害者への就労支援は本当に難しいのが現状なのです。
【A】
経営環境の厳しさは理解しますが、障害者雇用は企業の生産性にとってマイナスでしかないという「常識」が問われています。前例に縛られた視点を変え、企業にはトータルな再構築が求められているのです。
障害があるために、働く能力がありながらも就職できない人たちがたくさんいます。多くの障害者は、もっている能力を試す機会すら閉ざされているのが現状です。授産施設等から一般就労へ移行した人の数は、全体の1%にも満たないというデータもあります。どんな人でも、働かず、役割も持たず、施設や家に縛られたままの人生を喜ぶことはありません。
障害者を雇用するには、確かにこれまでの通常業務とは異なるサポート体制が必要です。しかし、これは従業員の新たな能力を開発することにもつながります。障害者を雇用している先進企業の経営者からは、障害者に働き手になってもらうことで、職場の雰囲気づくりにも役立っているという報告もあります。お互いを認め合って働くことで、企業活動だけでなく、個々人の生活や地域にも良い影響があるということです。支援者には企業へのねばり強い交渉が求められます。
出典:『障害のある人の雇用・就労支援Q&A』中央法規出版、2004年
『地域でささえる 障害者の就労支援』中央法規出版、2009年