ICFとは?
2009年11月17日 09:00
【Q】
ICFという言葉をよく聞きますが、これはどのようなものなのでしょうか?
【A】
ICFの考えは、ICIDHと比較するとわかりやすいでしょう。ICIDH(国際障害分類)はマイナス面(否定的側面)から障害を分類するという考え方であったのに対し、ICF(国際生活機能分類)は生活機能というプラス面(肯定的側面)から見るように視点を転換し、さらに背景因子である環境因子と個人因子の観点を加えました。下記にICIDHとICFの概念モデルを示します。
ICIDHと比較して、ICFの特徴をまとめると以下のようになるでしょう。
(1)生活機能を「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの要素でとらえ、さらに、これらに影響する背景因子として、個人因子と環境因子を設定した。
(2)ICIDHはマイナス面を強調した障害の分類であった。生活機能は障害というマイナス面を含むが、プラス面に視点を当てて生活を見ている。
(3)そして生活機能に問題が発生した状態を障害とし、それぞれ「機能障害(構造障害含む)」「活動制限」「参加制約」とした。つまり、生活機能にはプラス面とマイナス面が混在している状態であるとしている。
(4)ICFでは、環境因子を明確に位置づけている。これは障害(社会的不利)は環境に大きく影響されるにもかかわらず、機能障害や能力障害へのアプローチを中心に行ってきた反省からである。
(5)各要素はこれまで一方通行であったが、双方向性の矢印でつながり、それが関連しあうという、複眼的な視点で障害を考えている。
出典:篠田道子 著『改訂 質の高いケアマネジメント』中央法規出版、2008年