ICFをケアマネジメントに活用するには
2009年11月18日 09:00
【Q】
最近では、ケアマネジメントにICFの視点を取り入れる、ICFに沿ったケアプラン作成などとよく言われますが、ICFは分類ではないのでしょうか。どのように活用すればよいのか、よくわからないのですが……。
【A】
ICF(国際生活機能分類)は、疑問のとおり生活機能や障害の分類であり、過程をモデル化するものではありません。一方で、ケアマネジメントは支援過程です。また、ICFの生活機能分類は1424項目もあり、これらの項目を使ってアセスメントし、ケアプランを作成するのは現実的ではないでしょうから、ICFの概念や構成要素をケアマネジメントに取り入れるというのが、その活用方法となるでしょう。
ケアマネジメントにおいては、3つの生活機能(心身機能・身体構造、活動、参加)に直接働きかけるだけでなく、環境因子や個人因子に働きかけて、ケアの質を向上させることも可能になります。つまり、利用者の身体機能やADLの維持・向上のため、介護サービスを利用するだけでなく、本人の意欲を高めるような動機付けをしたり(個人因子の強化)、制度を柔軟に運用してサービス利用へのアクセスをよくする(環境因子の強化)など、背景因子への働きかけでケアマネジメントの質の向上をはかります。
ただ、ICFの視点でケアマネジメントを展開することは重要ですが、すべての利用者に適用できるかは疑問です。ICFは道具であり、道具が使えない場合もあります。例えば医学的ニーズの高いハイリスク者は医学モデルでの対応が優先されるべきであり、ICFの適用は慎重に行うべきでしょう。
出典:篠田道子 著『改訂 質の高いケアマネジメント』中央法規出版、2008年