クラブハウスの標準プログラム
【Q】
クラブハウスには、運営規約と標準プログラムが規定されていると聞きますが、どのようなものなのでしょうか?
【A】
世界クラブハウス連盟によって、クラブハウスでは、世界の国々において共通する36項目からなるクラブハウススタンダードである運営規約と標準プログラムが規定されています。
運営規約や標準プログラムの規定は、計画し決定する機会や運営する機会、さらには担い手となる機会という三層の参加を保障し協働する利用者主導のサービスを実現するためのものです。当事者が自らの体験を活かして、仲間の地域生活支援を展開する相互支援機能を徹底して重視する独自性は、従来の精神障害者のリハビリテーション施設にはなかったものです。そのような意味で、クラブハウスはオルタナティブなリハビリテーション方式であるといえ、さらに、世界共通の規約に基づくということで、世界レベルの基準を確保したグローバリゼーションのリハビリテーション施設といえます。 36項目からなる運営規約は、偏見、依存心(自己決定の侵害)、隔離という社会にあるバリアを無縁なものとするための世界共通の基準を有した活動の展開によって、世界的連帯を目指しています。運営規約は、(1)メンバー、(2)メンバーと職員の関係、(3)施設、(4)ユニット活動(役割分担作業)、(5)就労、(6)過渡的雇用、(7)機能、(8)財政・管理・運営などに大別され、基本的な考え方が示されています。この規約に関しては、2年に一度「世界クラブハウス会議」が開催され、各国のメンバーや職員、行政職員などが参加し、世界共通の哲学を築きあうために、厳しい検討が加えられています。
また、標準プログラムとして、(1)ハウス内の仕事やアウトリーチ(友愛訪問)、(2)住居提供、(3)過渡的雇用、(4)教育、(5)夜間や週末の社交、(6)リサイクルショップ、(7)フォーラムの開催が規定されています。
この多様なプログラムは、単にメンバーのみに享受されるものではなく、関係者や家族、住民に解放されたパートナーシップを発揮し得る機会と場としての意味をもつものです。そのことによって参加と協働を促し、誰もが孤立しない「ひとりぼっちではない」ことを実感し得るような社会環境の要素を変える、ソーシャル・インクルージョンの方向性をもつものといえます。
出典:『精神障害者の相互支援システムの展開』中央法規出版、2008年