「コーチング」はどう生かすの?
2009年09月07日 09:00
【Q】
老人ホームの相談員として働いています。最近「コーチング」という言葉をよく耳にしますが、利用者との面接でどう生かすことができるのでしょうか。
【A】
コーチングとは、相手に答えを与えるのではなく、答えを引き出すことによって、相手の成長と自己決定をサポートするかかわり方です。
利用者の自己決定を促して尊重することは、バイステック(F.P.Biestek)の7原則の1つであり、それを知らない福祉専門家はいないほど、よく知られている基本的な態度です。ところが、それでは利用者の自己決定をどのように援助するのかというと、その具体的な方法に関しては、十分に議論されてこなかったのではないでしょうか。
コーチングでは、答えを与えず、開かれた質問をして、答えを考えてもらいます。「…してはいかがですか」(助言)とか「…してください」(指示)、「…しなさい」(命令)と言う代わりに、「どうすればよいと思いますか?」「どうしたいのですか?」と質問するのです。このように質問をして答えを引き出し、それを支持するということは、自己決定の尊重や自己決定権の保障につながります。
福祉援助の過程にコーチングを導入すれば、自己決定の尊重を単なる原則や心得に終わらせるのではなく、具体的な援助技術として実践することが可能になるのです。コーチングの具体的な内容については、入門書などを見て、深めていってください。
出典:『対人援助のためのコーチング-利用者の自己決定とやる気をサポート』中央法規出版、2007年