2013年度の介護保険
3月15日、厚生労働省は全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(2013.03.11)資料をホームページで公表しました。
全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(以下、課長会議)は毎年2月頃に開催されています。
資料では、2013年度の「老人保健福祉関係予算(案)の概要」(以下、2013年度予算案)として2兆5,842億円の計上が報告されています。
2013年度予算案は開会中の第183回通常国会で審議されますが、介護報酬(介護保険サービスの値段)の国税による負担2兆4,916億円、地域支援事業の国税による負担分623億円の合計が2兆5,539億円で、全体の98.8%を占めています。
認知症の人と成年後見制度
3月14日、東京地方裁判所は、「成年後見人」がついた人は選挙権を失うと定めた公職選挙法の規定に違憲判決を出しました。
新聞の社説は「成年後見裁判 違憲判決は当然だ」(2013.03.17毎日新聞)、「政治参加に道を開け 選挙権と後見制」(2013.03.15東京新聞)など「成年被後見人選挙権訴訟」の違憲判決を支持しています。しかし、公職選挙法を担当する新藤義孝・総務大臣は「国を当事者とする訴訟は法務省が窓口になりますから、法務省と協議してまいりたい」(3月15日「新藤総務大臣閣議後記者会見の概要」)とコメントするのにとどめました。
「成年後見関係事件の概況(2011年1~12月)」(最高裁判所事務総局家庭局)によると、「成年後見人」などがつく“法定後見”の申し立ては3万757件、申し立てが認められたのは2万8,617件と報告されています。
原告はダウン症のため知的障害があるそうですが、“法定後見”の対象になるのは「認知症、知的障害、精神障害などで判断能力の不十分な」人とされています。
被災地の「特例看護サービス」
東日本大震災からまる2年が過ぎました。
3月6日、厚生労働省が公表した『2013年我が国の人口動態(2011年までの動向)』では、東日本大震災による死亡は1万8,877人(男性8,693人、女性1万184人)にのぼり、「6割以上が60歳以上」(60代が3,501人、70代が4,515人、80代が3,322人、90代が643人、100歳以上が25人)と報告されています。
8日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋・分科会長 以下、分科会)の第93回では、東日本大震災に対応するため、訪問看護ステーション(基準該当サービス)の人員配置基準を常勤換算1人に緩和することを認めた「被災地特例」について、対象地域を大幅に縮小して、今年9月まで延長を認めるという厚生労働大臣の諮問を了承する答申が行なわれました(資料2「訪問看護サービスの人員基準について」)。
“企業”の介護保険料
1月23日更新の「2015年改定に向けた議論のスタート」で紹介したように、1月21日に開催された社会保障審議会介護保険部会(山崎泰彦・部会長)の第42回の冒頭あいさつで、厚生労働省の原勝則・老健局長は、「2015年に向けて、社会保障制度改革国民会議と調整しながら、議論をお願いしたい」と語りました。
社会保障制度改革国民会議(清家篤会長 以下、国民会議)では、「社会保障・税一体改革」にもとづき、社会保障制度(年金、医療、介護、子育て)をどう見直すのかを議論しています。
「社会保障・税一体改革」では、消費税5%(13.4兆円程度)引き上げのうち、4%(10.8兆円程度)を「社会保障の安定化」、残り1%(2.7兆円程度)を「社会保障の充実」に使うと約束しています。
国民会議は「社会保障の充実」をテーマに掲げ、2月19日に第4回、28日に第5回とヒアリングが行なわれ、経済3団体、労働1団体、地方公共3団体、財務省から、第2号被保険者(40~64歳、約4000万人)の介護保険料の計算方法について意見が出されました。