高齢者虐待の被害者は約1万7,500人
12月21日、厚生労働省老健局は「2011年度高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」(高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室 以下、調査結果)を公表しました。
この調査は、2006年4月に施行された高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)にもとづく対応について、全国の市区町村、都道府県を対象に毎年、行なわれています。
調査結果では、「養護者」(高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等)による虐待は1万6,599件で、2010年度に比べて69件(0.4%)減ったと報告しています。しかし、「施設従業者等」(特養など養介護事業の業務に従事する者)による虐待は、2010年度の96件から151件になり、約6割増となっています。
在宅サービスの事業所調査
12月13日、「2011年介護サービス施設・事業所調査結果の概況」(厚生労働省大臣官房統計情報部 以下、事業所調査)が公表されました。
厚生労働省が介護保険制度について定期的に公表している調査は、表3のように6種類8調査にのぼります。
事業所調査は、介護保険サービス指定事業所の状況(経営主体、利用者数、従事者数など)を毎年報告しています。今回は2011年10月1日現在の施設・事業所の状況について延べ28万6,398カ所を対象に調査を行ない、回答のあった延べ24万140カ所(約84%)を集計しています。くわしいデータは、政府統計の総合窓口「2011年介護サービス施設・事業所調査」に掲載されています。
なお、20日に開催予定の第4回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(田中滋・委員長)では、「介護サービス施設・事業所が行う高額投資に係る消費税負担の実態調査」の実施が検討されています。
社会保障制度改革国民会議と介護保険
11月30日、社会保障制度改革国民会議(清家篤・会長 以下、国民会議)の第1回が首相官邸で開かれました(内閣府大臣官房政府広報室の政府インターネットテレビ「社会保障制度改革国民会議(第1回)」も配信されています)。
国民会議は今年8月22 日に施行された社会保障制度改革推進法(以下、推進法)に基づき設置され、野田佳彦・内閣総理大臣が召集したもので、消費税の引き上げ分(2014年に8%、2015年に10%)を社会保障制度にどのように使うのかを議論し、来年8月をめどに結論をまとめることが予定されています。
しかし、「選挙公約にみる介護保険」(12月5日更新)で紹介したように、16日が投票日の衆議院議員選挙では、民主党・自民党・公明党の3党以外のほとんどの政党が消費税の引き上げそのものに反対する公約に掲げているため、「3党合意、選挙後に不安」(12月1日朝日新聞)、「衆院選の結果次第」(12月2日読売新聞)という報道もあります。
選挙公約にみる介護保険
第46回衆議院議員総選挙(以下、衆院選)は12月16日の投開票が予定されていますが、各政党のホームページに選挙公約(以下、公約)が出そろいました。しかし、衆院選に臨むのは12政党もなり、公約の文章も各党スタイルで、比較しづらいものです。
障害者サービスについては、「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会が8項目の「2012衆議院議員選挙政党アンケート」を送付し、「各政党の回答を見る」を公表しています。
今回は各政党がホームページに掲載している公約から、“消費税の引き上げ”と“介護保険”をピックアップして比較してみました。