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どうなる? 介護保険

ケアマネジャーのゆくえ(2)

 7月9日、厚生労働省老健局は「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」(田中滋・座長 以下、検討会)の第4回を開きました。
 老健局振興課(事務局)から資料1「居宅介護支援事業所の規模別の分布」と資料2「ケアマネジメント向上事業の実施について(介護支援専門員研修改善事業、2012年度予算)」が説明され、2人の構成員(日本作業療法士協会、日本社会福祉士会)の報告、4人の構成委員のプレゼンテーション(日本慢性期医療協会、全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、日本介護支援専門員協会)が行われました。
 検討会は今後、「2012年秋を目途として中間的な議論の整理」(第1回資料)に入り、次回は8月29日に開催が予定されています。

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「1人ケアマネ事業所」
 資料1「居宅介護支援事業所の規模別の分布」は、5月31日に開かれた第3回検討会の「1人の居宅介護支援事業所の状況等」(資料1)の追加データとして報告されました。
 “1人ケアマネ事業所”については、5月9日の第2回検討会で藤井賢一郎・構成員(日本社会事業大学専門職大学院准教授)がプレゼンテーション「生涯成長を見据えたケアマネジャー養成の視点」で、「チームで仕事をしていないケアマネさんがたくさんおられる部分を、成長という視点も含めて、どのようにとらえていくのか」(第2回検討会議事録より)と問題提起をしています。
 今回の厚生労働省資料では、表1のようにケアマネジャーが1人の居宅介護支援事業所は全体の14.8%と報告されています。

表1 居宅介護支援事業所の規模別の分布
全体1537事業所100.00%
事業所内の介護支援専門員数
1人228事業所14.80%
2人234事業所15.20%
3人277事業所18.00%
4人226事業所14.70%
5人134事業所8.70%
6人99事業所6.40%
7人48事業所3.10%
8人32事業所2.10%
9人17事業所1.10%
10人9事業所0.60%
11人以上29事業所1.90%
第4回「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」資料1、出典:株式会社日本総合研究所『介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する基礎調査』をもとに特別集計

「介護支援専門員研修改善事業」
 資料2「ケアマネジメント向上事業の実施について」は厚生労働省の2012年度予算で実施される「介護支援専門員研修改善事業」(以下、事業)の報告で、事業目的は「現行のケアマネジメントの実態と課題を明らかにするため、具体的なケアプランとケアマネジャーの思考過程の事例に基づいて、ケアマネジメントの評価・検証と、ケアマネジメント向上のための改善方策の検討を行う」としています。
 事業についてはすでに、2011年2月22日に開かれた全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議で、「新たに実施する介護支援専門員研修改善事業について」(287ページ)の紹介があります。
 2011年事業では「介護支援専門員更新研修のガイドライン(案)を作成し、モデル事業として千葉県、福井県、大阪府において、指導者養成研修を実施(受講者数116人)」(厚生労働省「省内仕分け」より)し、「2011年度においては、ガイドライン(案)を策定した段階であり、2012年度においてガイドラインが完成し、各都道府県で活用するのは2013年度からである」(厚生労働省「2012年行政事業レビューシート」より)という報告があります。ちなみに、2011年度事業は日本介護支援専門員協会が受託(契約金額945万2,000円)しています(2012年2月29日、厚生労働省大臣官房会計課「公共調達審査会活動状況報告書」より)。

「資質向上」と「研修改善」
 2011年度事業について、厚生労働省は「2012年度にガイドラインを策定し、各都道府県において2013年度から当該ガイドラインを活用した研修を行うこととしているが、現在、『介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会』において、介護支援専門員の養成・研修課程や資格の在り方について議論を進めており、当該検討会における議論の結果を踏まえた事業内容の見直しを検討する必要がある」(「提言型事業仕分け」より)と事業方針が変更される可能性を示しています。
 9日の検討会で説明された2012年度事業では、(1)ケアプラン事例検証に向けた調査と(2)ケアマネジメント向上会議(仮称)の開催が予定されています。
 (1)の調査では1,000ケースから「ケアプランとケアマネジャーの思考過程の事例」を収集し、「アセスメントによる課題抽出からケアプラン作成に至るケアマネジメントの内容について評価・検証」が行われ、この調査に基づき(2)で「多職種の協働による公開の議論の場において、事例評価・検証を実施」し、「ケアマネジメント向上のための改善方策を検討」するとされています。なお、2012年度事業について厚生労働省は、6月20から7月3日まで委託事業者の公募(企画競争)を行ったばかりです。
 2012年度事業は検討会に報告されるそうですが、厚生労働省は「介護支援専門員研修改善事業」の「ガイドラインの策定等でサービス利用の適正化・効率化を実現」(「提言型事業仕分け」より)するとしています。今秋にも中間報告を予定する検討会と2012年度事業のスケジュール、内容ともにどのようにつながるのか注目したいと思います。


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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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