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どうなる? 介護保険

介護報酬改定(4)デイサービスの改定

 今回は、第5期(2012~14年度)の介護報酬改定の内容(第88回社会保障審議会介護給付費分科会〈2012.01.25〉資料)から、デイサービス(介護予防デイサービス、デイサービス)についてみていきます。
 在宅サービスのなかで人気が高いのは、ホームヘルプ・サービス(利用者約182万人)、デイサービス(利用者約189万人)、福祉用具レンタル(利用者約183万人)の3サービスです。なかでもデイサービスは、利用者が一番多くなります。
 デイサービス事業所の経営主体は、民間会社が43.7%、社会福祉法人が39.1%で、1事業所の平均利用者は介護予防デイサービスが14.8人、デイサービスが42.8人と報告されています(厚生労働省大臣官房統計情報部「平成22年介護サービス施設・事業所調査結果の概況」より)。また、デイサービスで働く介護従事者数は14万7734人で、うち女性が75%、平均年齢は42.9歳です(厚生労働省老健局老人保健課「平成22年度介護従事者処遇状況等調査」より)。
 デイサービスについては、2011年介護保険法改正について意見をまとめた社会保障審議会介護保険部会(以下、部会)が「家族介護支援のための宿泊付きデイサービス」について議論しましたが、「緊急ショートの拡充をすべき」など反対意見が多く、「介護保険制度の見直しに関する意見」(2010年11月30日)には盛り込まれなかったという経緯があります。
 なお、2012年度介護報酬改定についてのパブリックコメント(平成24年度介護報酬改定に伴う関係省令の一部改正等に係る意見募集)の締め切りは2月24日とまもなくです。
 さらに同月28日には、「東日本大震災における特例措置等」をテーマに第89回分科会(傍聴締切は23日正午)が開かれる予定です。

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介護予防デイサービスの基本報酬は3~6%引き下げ
 要支援1・2の人(約53万人)が利用する介護予防デイサービス(介護予防通所介護)は、「基本サービス費の適正化」をするため、表2にあるように要支援1で5.7%、要支援2で3.4%の引き下げになり、かわりに表3に示した選択的サービス複数実施加算が新設されています。基本報酬引き下げと新設された加算を差し引きするとどうなるのでしょうか。事業所の動向が気になるところです。

表1 2012年度からのデイサービス
サービスの種類事業所数利用者数
介護予防サービス
介護予防デイサービス2万5119事業所52万6100人
介護サービス
デイサービス2万6028事業所145万1200人
事業者数:厚生労働省大臣官房統計情報部「平成22年介護サービス施設・事業所調査結果の概況」 利用者数:厚生労働省大臣官房統計情報部「平成22年度介護給付費実態調査の概況


表2 介護予防デイサービスの基本報酬
介護予防通所介護2009~11年度2012~14年度増減
要支援12,226単位/月2,099単位/月-127単位/月(-5.71%)
要支援24,353単位/月4,025単位/月-148単位/月(-3.40%)


表3 介護予防デイサービスのおもな加算報酬
アクティビティ実施加算廃止
生活機能向上グループ活動加算[新規]100単位/月
運動器機能向上加算225単位/月
栄養改善加算150単位/月
口腔機能向上加算150単位/月
選択的サービス複数実施加算I[新規]480単位/月
選択的サービス複数実施加算II[新規]700単位/月
事業所評価加算120単位/月


デイサービスは提供時間が長くなる
 要介護1から5の人(約145万人)が利用するデイサービス(通所介護)は、「サービス提供時間の実態を踏まえ」て、表4にあるように、これまでの6時間以上8時間未満の提供時間区分が、(1)5時間以上7時間未満と(2)7時間以上9時間未満に分けられました。基本報酬をみると、(1)では要介護1で最大11.1%の引き下げになり、(2)では要介護5で最大5.6%の引き上げになり、長時間のサービス提供の評価が高くなりました。
 また、加算報酬には「家族介護者への支援(レスパイト)を促進する」するため、延長加算が新設され最長12時間までサービス提供を認めることになりましたが、介護予防サービスと同じく事業所の動向に左右されそうです。
 いずれにしても部会、分科会には他のサービス同様、デイサービスの需要調査が示されたことはなく、時間延長が利用者や家族介護者に歓迎されるものなのかどうか、分科会が設置予定の「介護報酬改定検証・検討委員会(仮称)」(第88回分科会資料3)の“介護報酬改定効果検証”を待たなければならないようです。


表4 デイサービスの提供時間の見直し
2009~11年度
3時間以上4時間未満
4時間以上6時間未満
6時間以上8時間未満
2012~14年度
3時間以上5時間未満
5時間以上7時間未満
7時間以上9時間未満
9時間以上10時間未満(延長)
10時間以上11時間未満(延長)
11時間以上12時間未満(延長)


表5 デイサービスの基本報酬(通常規模事業所の場合)
通所介護2009~11年度2012~14年度増減
利用時間6時間以上8時間未満5時間以上7時間未満5時間以上7時間未満
要介護1677単位/日602単位/日-75単位/日(-11.08%)
要介護2789単位/日708単位/日-81単位/日(-10.27%)
要介護3901単位/日814単位/日-87単位/日(-9.66%)
要介護41,013単位/日920単位/日-93単位/日(-9.18%)
要介護51,125単位/日1,026単位/日-99単位/日(-8.80%)
利用時間7時間以上9時間未満7時間以上8時間未満
要介護1690単位/日+13単位/日(+1.92%)
要介護2811単位/日+22単位/日(+2.79%)
要介護3937単位/日+36単位/日(+4.00%)
要介護41,063単位/日+50単位/日(+4.94%)
要介護51,188単位/日+63単位/日(+5.60%)


表6 デイサービスの主な加算報酬
入浴介助加算50単位/日
個別機能訓練加算I42単位/日
個別機能訓練加算II50単位/日
若年性認知症利用者受入加算60単位/月
栄養改善加算150単位/回
口腔機能向上加算150単位/回
延長加算(新設)11時間以上12時間未満150単位/日


表7 デイサービス事業所の規模
小規模の事業所前年度の月間平均利用人数が300人以下
通常規模の事業所前年度の月間平均利用人数が300人超750人以下
大規模の事業所I前年度の月間平均利用人数が750人超900人以下
大規模の事業所II前年度の月間平均利用人数が900人超


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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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