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どうなる? 介護保険 2012年02月

介護報酬改定(5)新設された地域密着型サービスの介護報酬

 今回は、介護保険法改正で新設された地域密着型サービスの2サービスについて、第5期(2012~14年度)介護報酬改定の内容(第88回社会保障審議会介護給付費分科会〈2012.01.25〉資料)でみていきます。
 新サービスは、「地域包括ケア」を実現するために創設された、定期巡回・随時対応サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)と複合型サービスです。特に定期巡回・随時対応サービスは、新聞等でも「介護保険に24時間サービス創設」と報道され、「今回の制度改定の目玉」(2011年5月20日衆議院厚生労働委員会第14号、大森彌・参考人、社会保障審議会会長)と位置づけられています。
 2つとも(1)市区町村が指定する地域密着型サービス、(2)既存サービス(ホームヘルプ・サービスや夜間ホームヘルプ・サービス、小規模多機能型居宅介護)と訪問看護ステーションの組み合わせという特徴があります。
 「地域包括ケア」については、「日常生活圏域内において、医療、介護、住まい、生活支援サービスが切れ目なく、有機的かつ一体的に提供される体制」(社会保障審議会介護保険部会介護保険制度の見直しに関する意見』2010年11月30日)とされ、『社会保障・税一体改革大綱』(2月17日閣議決定)では「切れ目のない在宅サービスにより、在宅生活の限界点を高める」とされています。
 なお今月23日、厚生労働省老健局は全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(以下、課長介護)を開き、2012年度介護報酬や基準の改定、2012年度予算案などについて説明を行いました。


介護報酬改定(4)デイサービスの改定

 今回は、第5期(2012~14年度)の介護報酬改定の内容(第88回社会保障審議会介護給付費分科会〈2012.01.25〉資料)から、デイサービス(介護予防デイサービス、デイサービス)についてみていきます。
 在宅サービスのなかで人気が高いのは、ホームヘルプ・サービス(利用者約182万人)、デイサービス(利用者約189万人)、福祉用具レンタル(利用者約183万人)の3サービスです。なかでもデイサービスは、利用者が一番多くなります。
 デイサービス事業所の経営主体は、民間会社が43.7%、社会福祉法人が39.1%で、1事業所の平均利用者は介護予防デイサービスが14.8人、デイサービスが42.8人と報告されています(厚生労働省大臣官房統計情報部「平成22年介護サービス施設・事業所調査結果の概況」より)。また、デイサービスで働く介護従事者数は14万7734人で、うち女性が75%、平均年齢は42.9歳です(厚生労働省老健局老人保健課「平成22年度介護従事者処遇状況等調査」より)。
 デイサービスについては、2011年介護保険法改正について意見をまとめた社会保障審議会介護保険部会(以下、部会)が「家族介護支援のための宿泊付きデイサービス」について議論しましたが、「緊急ショートの拡充をすべき」など反対意見が多く、「介護保険制度の見直しに関する意見」(2010年11月30日)には盛り込まれなかったという経緯があります。
 なお、2012年度介護報酬改定についてのパブリックコメント(平成24年度介護報酬改定に伴う関係省令の一部改正等に係る意見募集)の締め切りは2月24日とまもなくです。
 さらに同月28日には、「東日本大震災における特例措置等」をテーマに第89回分科会(傍聴締切は23日正午)が開かれる予定です。


介護報酬改定(3)ホームヘルプ・サービスの改定

 今週から、介護保険のサービスごとに第5期(2012~14年度)の介護報酬改定の内容(第88回社会保障審議会介護給付費分科会〈2012.01.25〉資料)をみていきます。
 各サービスの改定をみると、訪問看護以外は全体的に引き下げですが、基本報酬にかけあわせる地域区分の変更(2月1日付本連載参照)や介護職員処遇改善加算の新設(同月8日付本連載参照)があるため、全体像がはっきりしません。とりあえず、基本報酬を中心に確認していきます。
 介護保険サービスは在宅(居宅)サービス、地域密着型サービス、施設サービスと大きく分類されますが、2006年度以降、要支援1・2の認定を受けた人への介護予防サービス(要支援1・2の認定者が対象)と、介護サービス(要介護1~5が対象)が分けられました。
 2011年の介護保険法改正、今回の介護報酬改定を「ホームヘルパーが提供するサービス」でみると、表1のようになります。

表1 2012年度からのホームヘルプ・サービス
サービスの種類事業所数利用者数
介護予防サービス
介護予防ホームヘルプ・サービス2万6085事業所56万4100人
介護サービス
ホームヘルプ・サービス2万6889事業所124万7900人
地域密着型サービス
夜間ホームヘルプ・サービス126事業所1万0100人
定期巡回・随時対応サービス(新規)
事業者数:厚生労働省大臣官房統計情報部「平成22年介護サービス施設・事業所調査結果の概況」 利用者数:厚生労働省大臣官房統計情報部「平成22年度介護給付費実態調査の概況」

介護報酬改定(2)介護職員の給与引き上げ分は税金から加算に

 第5期(2012~14年度)介護報酬改定について1月25日、社会保障審議会介護給付費分科会(座長:大森彌・東京大学名誉教授 以下、分科会)の第88回で、社会保障審議会(会長:大森彌 以下、審議会)への報告書がまとめられました。
 翌26日、厚生労働省はパブリックコメント(1)「2012年度介護報酬改定に伴う関係省令の一部改正等に係る意見募集」を開始し、地域区分の見直し、介護職員処遇改善加算の新設、各サービスの報酬単価などについて意見を求めています(募集締め切りは2月24日)。
 また、2月3日、事務負担軽減のための介護認定有効期間延長について(2)「介護保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する意見募集」(募集締め切り3月3日)、地域密着型サービスに新設された定期巡回・随時対応型訪問介護看護や複合型サービスなどの整備について(3)「介護保険法施行規則等の一部改正に関する意見募集」(募集締め切り3月3日)、地域支援事業(市区町村事業)に新設された介護予防・日常生活支援総合事業(要支援認定者、二次予防事業対象者が該当)について(4)「介護予防・日常生活支援総合事業の円滑な実施を図るための指針案等に関する意見募集」(募集締め切り3月4日)もはじめています。(1)から(3)のパブリックコメントは行政手続法に基づく意見募集で、(4)は厚生労働省の任意募集です。
 2月23日には全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(傍聴締め切り2月9日12時)が予定され、パブリックコメントの意見集約を待つことなく、2012年度からの介護保険制度について自治体への説明が行われる予定です。


介護報酬改定(1)介護報酬1単位の値段が変わる

 1月25日、社会保障審議会介護給付費分科会(座長:大森彌・東京大学名誉教授 以下、分科会)の第88回に、第5期(2012~14年度)介護報酬の改定内容について小宮山洋子・厚生労働省大臣から社会保障審議会(会長:大森彌・東京大学名誉教授 以下、審議会)に出された「これでいいですか?」という諮問書(資料1-3)が提出され、分科会から「いいですよ」と了承する審議会への報告書がまとめられ、同時に審議会が厚生労働大臣に提出する答申書が配布されました。
 同日、「介護保険に24時間サービス創設 施設、生活援助は効率化」(共同通信)、「在宅サービス強化、職員の待遇改善制度化 介護報酬改定」(朝日新聞)、「介護報酬改定案、24時間訪問サービス定額制に」(読売新聞)、「『24時間巡回』定額制 生活援助、時間区分短く」(毎日新聞)などの報道があり、(1)介護職員処遇改善交付金の介護報酬化(介護職員処遇改善加算の新設)と(2)地域密着型サービスに新設された24時間サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)の月単位定額制の報酬単価が話題になっています。
 厚生労働省ホームページには、目次にあたる資料1-1「2012(平成24)年度介護報酬改定について(骨子)」(4ページ)、資料1-2「2012(平成24)年度介護報酬改定の概要」(53ページ)、具体的な算定基準と単価、指定基準の改正(概要)をまとめた「2012(平成24)年度介護報酬改定 介護報酬・指定基準等の見直し案」(別紙1~8、416ページ)がすべて掲載されていますので、具体的な内容を確認してください。


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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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