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どうなる? 介護保険

第5期介護保険事業計画のガイドライン

 介護保険制度は、法律(介護保険法)と介護報酬、そして介護保険の運営主体である市区町村(保険者)の介護保険事業計画にもとづいて改定されています。
 通常国会での成立を経て6月22日に公布された改正介護保険法(介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)にもとづき、介護報酬を中心とする具体的な内容は社会保障審議会介護給付費分科会で来年1月まで審議される予定ですが、7月11日、厚生労働省老健局は「第5期介護保険事業(支援)計画の策定に係る全国会議」(以下、全国会議)を開きました。
 介護保険事業計画は介護保険を運営する基本となるもので、市区町村ごとに介護保険事業計画策定委員会(以下、委員会)が設置されます。委員会は福祉、医療などの専門家や事業者代表、公募による市民委員などで構成され、厚生労働省が示した基本指針(ガイドライン)をもとに必要なサービス量の見込みや事業者の確保状況などを調べて計画を作ります。なお、都道府県は市区町村を支援するために介護保険事業支援計画を策定します。
 全国会議には都道府県、政令指定都市、中核市などの介護保険担当者が集まり、「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針の改正(案)」のほか、第5期(2013~2015年度)介護保険事業計画、介護保険支援計画策定についての説明を受けました。
 今回は、この全国会議資料をもとに、第5期介護保険事業計画のガイドラインに示された主な内容を確認します。

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1 介護予防・日常生活支援総合事業
 高齢者が「要介護状態等になるおそれがあるときや要支援状態になったとき」には、介護予防サービス及び介護予防事業(介護予防・日常生活支援総合事業を行う場合は、介護予防・日常生活支援総合事業)が提供されるようにする。
 介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)は、(1)介護予防事業、(2)介護予防ケアマネジメント事業(包括的支援事業)、(3)市区町村の判断により実施する事業(介護予防サービスのうち市区町村が定めるサービス、厚生労働省令で定める配食、見守りなどの日常生活支援事業、介護予防サービスの対象とならない要支援認定者へのケアマネジメント事業)の“全てを総合的に実施する事業”。
 総合事業の導入により、(1)要支援認定と非該当を行き来する高齢者に切れ目のない総合的なサービスを提供、(2)虚弱、引きこもりなど認定されない高齢者への円滑なサービスの導入、(3)自立や社会参加意欲の高い者にボランティア・ポイント制など総合事業への参加や活動の場を提供、などが可能になる(資料8「第5期計画への介護予防・日常生活支援総合事業の実施の位置づけの検討について」より)。

2 地域包括ケアシステム
 いわゆる「団塊の世代」が高齢期を迎える2015年、2020年、2015年、あるいは地域における高齢化のピーク時にめざすべき地域包括ケアシステムの構築を念頭に目標設定する。
 地域包括ケアシステムの推進のため、(1)高齢者の居住に係わる施策(高齢者居住安定確保計画)との連携(2014年度目標値の設定では、高齢者が「日常生活を営む」場所は“居宅”から“住み慣れた地域”に変わり、サービス付き高齢者住宅の普及を図ることが必要とされている)、(2)医療(医療計画)との連携、(3)認知症支援策の充実、(4)生活支援サービス(見守り、配食、買い物など)について、段階的に充実強化することが重要である。

3 日常生活圏域ニーズ調査にもとづく計画策定
 市区町村ごとに設定した日常生活圏域ごとに「日常生活圏域ニーズ調査」をまとめ、地域の高齢者の生活状態からみた課題、各サービスニーズを把握し、計画に反映する。同調査では、介護予防事業の対象者(候補者)も把握する。なお、9割の保険者がニーズ調査の実施を予定している(参考資料2「日常生活圏域ニーズ調査の実施状況等に関する調査結果の概要」より)。

 介護保険事業計画の策定は保険者ごとに行われるため、改正介護保険法で新設されたふたつの地域密着型サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護、複合型サービス)、地域支援事業に新設された介護予防・日常生活支援総合事業を盛り込むのかどうかは、全国1587保険者それぞれの判断になります。そして、介護保険事業計画をもとに第1号保険料(資料4「第5期保険料設定について」参照)が市区町村議会で決められます。
 住んでいる市区町村、あるいは働いている事業所のある市区町村がどのような介護保険事業計画を策定するのかはこれからです。ぜひ注目してください。



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本連載では、介護保険制度にまつわる皆さんの質問や疑問を受け付けています。制度改正のポイントや利用者・家族、介護職員などへの影響について具体的に知りたいなど、何でも結構です。
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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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