介護報酬の方向性
2回目の大きな改定となる改正介護保険法は6月15日、国会で成立しましたが、具体的な内容は社会保障審議会介護給付費分科会(以下、分科会)で検討されます。こちらは介護報酬という「サービスの値段」を決めるため、「2011年度介護事業経営実態調査」が「介護報酬設定に必要な基礎資料」と位置づけられ、最新調査の公表は今秋とされています。
このため、介護報酬改定の方向性として示されているのは2月7日、第71回分科会に出された「2012年度介護報酬改定に向けたメモ」のみの状態です。
介護保険サービスの被災状況
「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(以下、改正案)は6月14日、参議院厚生労働委員会(126分)で採決され、翌15日、本会議(21分)で賛成223票、反対10票(共産党6票、社民党4票)で可決されました(委員会、本会議ともに参議院インターネット審議中継でネット傍聴できます)。
今後、舞台は国会から社会保障審議会介護給付費分科会に移り、地域密着型サービスに新設される定期巡回・随時対応型訪問介護看護や複合サービスなどの具体的な内容は、介護報酬検討のなかで明らかになる予定です。
14日の委員会は最後の国会質疑となりましたが、東日本大震災での介護関係の被災状況についていくつか答弁がありました。
改正案の国会審議は最終局面
衆議院で可決された「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(以下、改正案)は6月7日、参議院厚生労働委員会(以下、委員会)で審議入りしました。9日には5時間35分の質疑が行われましたが、明日14日(火)には2回目の質疑(2時間25分)で採決が予定されています。
つまり、改正案は衆議院10時間、参議院8時間という短時間の国会質疑で成立の予定です(9日の委員会は、参議院インターネット審議中継でネット傍聴できます)。
その後は、社会保障審議会介護給付費分科会(以下、分科会)で改正案の具体的な内容が検討され、2012年1月に厚生労働大臣の介護報酬改定の諮問に答申が行われ、厚生労働省令が出されるという流れになります。なお、16日(木)には第76回分科会が開かれる予定です。
すでに終盤という改正案審議ですが、今回は委員会の答弁のいくつかを紹介します。
「地域支え合い体制づくり事業」予算の使い道
5月31日、衆議院本会議で「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(以下、改正案)が可決されました(国会の審議は、衆議院と参議院それぞれの本会議と委員会で行われ、本会議には全議員が集まり、議院としての最終決定が行われます)。
続く参議院でも、厚生労働委員会で質疑が始まります。当初、6月2日開始といわれていましたが、内閣不信任案提出のため延期され、7日の趣旨説明(大臣が文書を読み上げるだけなので「お経よみ」と呼ばれます)から開始される予定です。
改正案についての衆議院厚生労働委員会(以下、委員会)の議事録は、第12号(5月11日)の細川律夫厚生労働大臣の趣旨説明、第13号(5月20日)の質疑しか公開されていません。参考人質疑(5月24日)、野党質問(5月25日)、委員会採決(5月27日)については衆議院テレビのビデオライブラリで、本会議採決(5月31日)とともに確認してください。
5月の委員会質疑を傍聴して気になったことのひとつが、「地域支え合い体制づくり事業」です。