介護職員による医行為の解禁
現在、介護保険法改正案(介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)が国会(衆議院)に提出されています。あわせて老人福祉法、社会福祉法、健康保険法等の一部を改正する法律、社会福祉士及び介護福祉士法、社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律の改正案も出されています。
ずいぶんたくさんあるものですが、社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正案では、介護職員による医行為(たんの吸引等=「喀痰吸引等」)を認めることが提案されています。そこで今週は、介護職員の医行為についてみていきます。
改正案成立前に介護報酬改定スタート
去る4月5日、介護保険法改正案(概要、法律案要綱、法律案案文・理由、法律案新旧対照条文、参照条文)が内閣提出法律案(閣法)として衆議院に提出されました。改正案は「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」という長い名前ですが、18日現在、まだ審議ははじまっていません。
13日には、介護報酬の改定を議論する社会保障審議会介護給付費分科会(以下、分科会)の第72回が開かれました。テーマは(1)東日本大震災における介護保険制度等の対応、(2)2012年度介護報酬改定に向けてのふたつでした。
さらに27日には早くも第73回が予定され、介護保険法改正案の国会審議や成立を待たずに、介護報酬の見直しの議論は進むという構図です。
なお、分科会などは一般の人でも傍聴を申し込むことができます。抽選になる場合がほとんどですが、第73回の傍聴申込は21日(木)正午が締め切りです。
介護保険法改正案 その2
東日本大震災の影響で気持ちが沈みがちですが、報道などで被災した人たちが復興に踏み出す姿にふれると大いに励まされます。しかし高齢者の状況については、『36%、1万人が高齢者 県が避難所調査』(岩手日報4月5日付)、『人あふれる高齢者施設、介護環境悪化』(読売新聞同6日付)など、深刻な状況も明らかになってきています。
厚生労働省は今月5日、被災者向けに『生活支援ニュース』の配布を開始し、その第1号では、医療・介護支援について「介護サービスも、まだ要介護認定を受けていない場合でも利用できます」「被災された方は、診療代や介護保険料がかかりません」と呼びかけています。
前回紹介したように、現在「災害介護」が目前の課題となっています。では、本体の介護保険法はというと、大震災当日に改正案(介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)が閣議決定され、4月5日、第177回国会に提出されました。
ひとことで改正案と言いますが、内容は概要、法律案要綱、法律案案文・理由、法律案新旧対照条文、参照条文と分厚いものになります。
なかでも気になるポイントのひとつは、要支援1・2の利用者を市区町村(保険者)の判断で、介護保険サービス(給付)のメニューを地域支援事業(市区町村事業)に移していいという“見直し”です。
東北3県の介護保険
厚生労働省災害対策本部が毎日更新している被害状況報告をみると、「東日本大震災」で災害救助法の適用を受けているのは1都9県にのぼります。なかでも宮城県(全35市町村、人口約235万人)、福島県(全59市町村、人口約203万人)、岩手県(全34市町村、人口約133万人)が全域で被害を受け、茨城県(28市7町2村)、栃木県(15市町)、千葉県(6市1区1町)が続きます。
どの地域も被害状況が明らかになるのはこれからですが、今回は全域で被害を受けた東北3県(宮城、福島、岩手)の介護保険制度の状況を確認してみます。