介護保険法改正案
3月11日、介護保険法改正案(介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)を今国会に提出することが閣議決定されました。
改正案を提出する理由は、「高齢者が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」にするために、(1)「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」など新サービスの創設、(2)保険料の上昇を抑えるための財政安定化基金の取り崩し、(3)介護福祉士等による「喀痰(かくたん)吸引」を可能とする――の3点とされています。
今回は、改正案の主な内容について紹介します。
大震災の特別対策
去る3月11日、介護保険法改正案(介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)を国会に提出することが閣議決定されました。しかし同日、「東北地方太平洋沖地震」が発生したため、現在、国会への提出は未定です。
なお、法律の改正には、総理大臣が主催する閣議で法律案(内閣提出法案)が了承され、国会(衆議院または参議院)に提出され、審議を経て修正を含む可決、あるいは否決が行われるので、現時点では介護保険法改正案が成立したわけではありません。
今回は、厚生労働省のホームページに随時掲載されている「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震関連情報」から、介護保険制度にかかわる災害特別対策(3月17日現在)の主な内容を紹介します。
「生活援助」のゆくえ
3月11日に起こった「東日本大震災」、12日の福島原発事故とあいつぐ大規模災害は現地をはじめ多くのみなさんに強い衝撃を与えていますが、被害にあわれた方がたに心からお悔やみを申し上げます。今後も被害の拡大や苦難が予測されますが、それぞれの場所で回復に向かうことを祈念いたします。
昨年、社会保障審議会介護保険部会(以下、部会)の「介護保険制度の見直しに関する意見」で、“軽度の要介護者”(要支援1・2)のホームヘルプ・サービス(訪問介護)は「多くの時間が生活援助に割かれている」が、“重度者や医療ニーズの高い高齢者”(要介護3~5)にサービス(給付)を重点化するため、“要支援者・軽度の要介護者”(要支援1~要介護2)は「対象外」にするか、利用料を「2割に引き上げる」という提案が盛り込まれました。
しかし、民主党厚生労働部門会議・介護保険制度改革ワーキングチームは「要支援者・軽度の要介護者への生活援助サービスは継続する」と提言をまとめ、部会の意見を覆しました。
ところが、今年2月7日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会(以下、分科会)で配布された『座長メモ』には、「給付の重点化をはかること」と今後の議論の方向性が示されました。3月16日の第72回分科会は中止となりましたが、今回は「生活援助」をめぐる動きをチェックします。
「24時間サービス」の新設
2012年度の介護保険制度改定に向けて、「地域包括ケア」の目玉商品として「24時間定期巡回・随時対応サービス」(以下、24時間サービス)が構想されています。
昨年2010年6月から、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に検討会(座長:堀田力・さわやか福祉財団理事長)が設置され、今年の2月25日には、厚生労働省のホームページに「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方研究会」報告書が公表されました。今国会に提出予定の「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)」でも、「24時間対応の定期巡回・随時対応型サービスの創設」が掲げられています。
今回は、専門職の皆さんの関心も高いと思われる24時間サービスの内容についてチェックしてみます。