介護現場で働く人たちの今後
介護保険サービスに従事する人は「介護従事者」「介護労働者」「介護職員」などと呼ばれます。厚生労働省が毎年公表している『介護サービス施設・事業所調査結果の概況』の「従事者の状況」に掲載される職種は20種類を超え、約128万人が働いています。
これら介護現場で働く人の給与は、所属する事業所から支払われます。事業所の売上は、介護保険サービスを提供することで得た介護報酬(介護保険サービスの費用)で、そこから給与(介護報酬の平均7割)が支払われます。ただし、給与をいくらにするかは「経営者の裁量」「労使の話し合い」に基づくとされ、法律で定められているわけではありません。
しかし、介護報酬は過去2回マイナス改定が続き、働く人たちの離職傾向が拡大しました。このため、2008年には「介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律」が定められ、介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策(09年度から2年間、1154億円)により、初めて介護報酬のプラス改定が行われました。さらに09年には、介護職員処遇改善交付金(2011年度末まで。約3975億円)で税金が投入されています。
本日2月7日から、社会保障審議会介護給付費分科会で介護報酬の見直しの議論がスタートしますが、交付金の有効期間が切れる12年度の介護報酬改定に注目していきましょう。
一方で、介護職の専門性を高める(介護福祉士の資格を条件とする)ため、社会保障審議会や厚生労働省が設置する検討会ではさまざまな議論が行われています。
2009年には介護職員のキャリアパスに関する懇談会が開かれ、先月17日には今後の介護人材養成の在り方に関する検討会の報告書が公表されました。
これには、介護職員の5割以上を介護福祉士にする(現在は約3割)ことを当面の目標に、ホームヘルパー2級相当の研修を「初任者研修」(仮称)に位置づけ、介護職員基礎研修は実務者研修に一本化、認定介護福祉士(仮称)の創設、実務者研修(450時間)の実施は12年度から3年間延期して15年度(平成28年1月実施予定の試験)からといった内容がまとめられています。
なお、たんの吸引など医療行為については、特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会が「取りまとめ」、介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会が「中間まとめ」を公表しています。