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和田行男の「婆さんとともに」

来る者拒まず・最期まで

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 知人の医師と、住まいから100キロ離れた地域に出かけた。高速道路を使って1時間半はかかる場所である。
 目的は、その医師の子どもの晴れ舞台(球場でプロ野球の合間に子どもミュージカルを披露)を見に行くためである。

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 ところが、現地に到着した直後に医師の患者が急変したとの連絡が入り、知人の医師だけとんぼ返り。
 病院なら代わりの医師が診てくれるのだろうが、診療所の訪問診療医では代わりがいないだけでなく、患者も家族も関係者も医師自身にとっても「代わりはない」のではないか。だから曜日も時間も関係ないと常々心得ている。
 こうした医師とかかわっていると「来る者拒まず」だけでなく「かかわりをもてば最期まで」を貫く、専門職の凄さを感じる。
 かたや介護の専門職たちは…
 自宅生活が難しくなっているある婆さん、子どもさんの意向で小規模多機能を使いながら入居施設を探し、ある介護施設で体験入居を試みたが、「継続してお受けできない」と通告された。
 断ったのはここが初めてではなく、受けたのが僕の関係するところの小規模だけなのである。
 「来る者を拒み・途中で投げ出す」
 これでは介護保険事業・事業従事者が国民から信頼を得るどころか見放されると思いきや、行政さえこうしたことに本気で動かないのだから「利用者本位」が聞いて呆れる。
 医者に対してとやかく言う前に、自分たちを専門職として律していかねば、専門職としても未来はないだろう。

どんな害にも飲料水
 山形県や山口県で「経験したことのない大雨」と言われるほどの豪雨により大変な被害が出ている。僕の仲間のところでも断水が続くなど生活に支障をきたしたようだ。
 東京でもゲリラ豪雨が頻回に起きているようだが、僕のところでもグループホームが床上浸水を被った。そもそも低地ではあるが、完全に都市計画上の「想定外」で、排水機能が追いつかないことによるものである。
 3・11の東日本大震災から「地震」や「津波」に目が奪われがちだったが、「水害」も、我が国ではどこでも災害対策上考えておかねばならない災害で、備えておかねばならないことを思い知らされた。

 山形の仲間のところでは、水害による断水が数日間にわたって起こったが、非常災害用に備蓄していた飲料水が非常に役立ったようである(当然のことだが)。
 水害を想定するときに、僕の中でもすっかり抜け落ちていたのが「水質低下によって飲めない」ということだ。
 水の量が多過ぎることで起こる氾濫・崩壊・崩落による家屋や道路等の被害に目がいき「水が多過ぎて水質が低下し飲めなくなる」なんて考えもしなかったし、大雨が降っている地域の仲間に「水に困っているだろうから水を届けよう」とはまったく思い描けなかった。
 ずいぶん昔のことだが、水による災害で飲料水に困り、配給水をもらいにいった経験を持ち合わせている僕であるにもかかわらず、である。また自分の愚かさに愕然とした。
 これを機に「届けよう、どんな害にも飲料水!」を仲間たちに広めていきたい。
 皆さんも、事業所・家庭で、水だけは十二分に備蓄し、しかも備蓄した水が飲料水として使える備蓄方で。
 これは最低必要なことやね。あと非常時に水を湯にできるようにしておけば尚いいことは言うまでもない。

■お知らせ1
 知人や仲間たちが企画する催しをお知らせします。
◎NPO法人福祉フォーラム・ジャパン主催
 認知症研修プログラム

「認知症ケア最前線」専門職のための実践講座
 定員:各日100名
 参加費:会員2000円 非会員3000円

○8月31日(土)15:30~18:30
場所:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター3階ホール3C(東京都新宿区八幡町、JR市ヶ谷駅徒歩1分)

★「認知症の地域連携」
 医療法人あづま会 理事長 大澤誠氏
★「これからの認知症ケア」
 株式会社大起エンゼルヘルプ 和田行男

○ 9月28日(土)10:30~14:00
  日本プレスセンタービル10階(東京都千代田区打幸町)
  千代田線・日比谷線霞が関駅 徒歩3分

★「認知症と薬」
社会福祉法人ロザリオの聖母会海上寮診療所 上野秀樹氏

★「認知症の人の暮らし(生きる)支援」
 認知症介護研究・研修東京センター 永田久美子氏

[お問い合わせ]
 NPO福祉フォーラム・ジャパン事務局
 渋谷区代々木4‐30‐3 新宿ミッドウエストビル
 電話 03-5388-7260
 E-mail : ffinfo@ff-japan.org
HP: http://www.ff-japan.org/

■お知らせ2

◎NPO法人福祉フォーラム・ジャパン 第1回全国大会
「暮らしの医療・暮らしの介護を求めて」
=市民で創る地域包括ケア=

 ○ 10月6日(日)10:00-18:00 受付9:30
 ○ 国立市一橋大学国立西キャンパス本館
    JR中央線国立駅南口徒歩6分
 ○ 定員280名
 ○ 会費 会員3000円 非会員5000円
 ○ 内容

 10:00-12:00 特別講演
  「オランダの先駆的な在宅看護・介護から学ぶ」
   ヨス・デ・ブロック氏(非営利組織ビューッゾルフ代表)

 13:00-15:00 シンポジウム「市民で創る地域包括ケア」
  原 勝則氏(厚生労働省老人保健局長)
  権丈善一氏(慶應義塾大学商学部教授)
  米澤淳子氏(国立医療科学院生涯健康研究部主任研究官)
  新田國夫氏(医療法人つくし会理事長) コーディネーター

 15:15-17:30 分科会
  新しい地域の「医」
  新しい地域の「食」
  新しい地域の「住」
  認知症ケアの臨床コンサルテーション

※詳細はホームページをご覧ください。


コメント


昨夜は、担当者会議ではお世話になりました。
楽しい場面に息子嫁の立場で、色々ご相談しまして
申し訳ございませんでした。
本日、担当居宅ケアマネジャーより、詳細は和田さんへFAXして頂く予定です。
ご多忙のところご迷惑をおかけいたしますが、宜しくお願いいたします。
 昨夜は、心身ともに疲れ切っての参加でしたが、
元気をたくさん頂きました。
ありがとうございました。
また、近くに素敵な仲間もたくさんいる事も再認識
できた1日でした。
 では、お気をつけてお帰りくださいませ。
また、お会いできる日を楽しみにしております。


投稿者: れいちゃん | 2013年07月31日 06:30

私の施設で「家に帰りたい」と玄関前にうずくまり、そのまま夜を明かすこともある入居者さんがいました。

「異常行動」と判断され、ケアマネに連絡後、精神科を受診してもらおうと決まりました。
精神科の診断は傾聴が一番の薬と、1日1回の処方薬に、この言葉が添えられていました。

その言葉も虚しく、その方は他の施設に引越されています。


投稿者: わたる | 2013年08月03日 23:07

初投稿です。先日の町田の講演お疲れ様でした。
和田さんの話を聞くと介護職について日々考える毎日です。
闘いの夏はまだこれからですが僕の勤めるグループホームも熱さに負けずがんばります!!


投稿者: はるすけ | 2013年08月06日 02:20

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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発行:中央法規
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