国民に応えない職員にカツ!
介護保険法には「サービス提供拒否の禁止」という条項があり、事業者の都合でサービスの提供を拒否することに歯止めをかけている。
でも、実際には「この状態ではお受けできない」とか「こうなったので出てください」というように、いろいろな理屈をこねてはサービスの提供を拒む事業者が後を絶たないのではないか。
そもそも困っている人がいるから飯が食えていることを忘れた話で、困っている人を無下にしても飯が食えるからこそのおごりに腹が立つし、介護業界のだらしなさを嘆くばかりであるが、逆に筋の通った人たちの話を聞くとものすごく嬉しくなり、励みになる。
公的な仕事をする介護業界の中にあっても公的色彩の強い法人が運営するデイサービスAが、利用希望したよねさん(仮名)へのサービス提供を拒んだ。
実はよねさん、家族が気にいった他の事業者・事業所からも拒まれ、ケアマネも家族も事業者・事業所に不信を感じていたようで、その上「最後の砦」とばかりに駆け込んだ公的色彩の強い法人にまで拒まれ、不信は膨らむばかりだったようだ。
それでもデイサービスの利用を諦めるわけにもいかず、やむなく目にも止まっていなかった小さい法人のお風呂の設備も十分でないデイサービス事業所に相談にいったのだが、「わかりました」と二つ返事で受けてもらえ、びっくりされたようである。
その小さい法人・事業所は僕の知っている処で、細々ながらも「市民にとっても自分たちにとって意味あることをしたい」と立ち上げたデイサービスである。
公的色彩の強い法人の建てたデイサービスは、立派な建物、入浴設備も寝たきり状態で入れるものが揃っていて、市民にとっては心強い砦のはずがその体たらくぶりで、知り合いたちもよねさんたちから相談を受けた時から怒り・嘆いていたそうだ。
これがそのまま推移していたら、いつかこの公的色彩の強い法人のデイサービスは凋落の道を辿るはめになったであろう。
ところが、その法人の幹部職員がその事実を知り、担当職員に「利用希望者を断るとはどういうことか」と詰め寄り、介護保険の社会的使命だけでなく、自分たち公的色彩の強い法人のもつ社会的な使命について問いたそうなのだ。
そもそも断った理由は、「利用希望の本人も家族も厄介そうだから」という国民をバカにした話のようで、そのことにも触れてカツを入れたそうである。(やるねェ!)
そもそも介護保険事業は公的な仕事。
そこにある「専門性」は、自分たちの利益追求のために発揮するのではなく、国民のための利益追求で国民生活を豊かにするために発揮することにあり、それを国民が願っているからこそ、税金や保険料を払っているのである。
しっかり市民の願いや状況・状態に応えていける専門性を持たない限り、市民からの信頼を得て市民によって守られる「介護事業者・従業者」には成り得ないのではないか。
固有名詞を書けないので不完全消化の記事になったが、僕の気持としては「どこの誰」まで書かせてもらって、その行動や言葉を、僕の言うことに共感してくれる人たちと一緒に讃えたいくらいだ。
未だに、ベッドが空いているのにさっさと入れてくれない、デイサービスを申し込んでもすぐに利用開始にならない、家族にあれをしてこれをしてと求められ困っているなど、市民の不満や不信は僕の耳にも入ってくる。
事業者事業所の事情はさておいて「応える」という姿勢とその行動力を見せないと、国民は介護事業者従業者に魅せられないだろう。
暑いけど、尽力しようぜ。
追伸
久しぶりに頭が泊ってしまい、ブログ更新が遅れてしまいました。申し訳ないです。でも身体は元気ですよ。
コメント
和田さん、胸のすく記事をありがとうございます。
私の会社も“公的色彩の強い法人”ですので、思わず襟を正しました。
公務員かそうでないかではなく、公金が自分たちの給料になっているという事実をもっとリアルに認識しなければなりません。
ウチの会社の連中に、このブログを読ませます!
外郭がやってる認知症専門とうたっている特別養護老人ホームは、迷惑そうな認知症老人を断ると同僚ケアマネがぼやいておりました。
もちろん…迷惑そうというのは施設にとって。
ショートにいっては、抵抗したとかうろうろするとか報告されるという。車いすでじーっとしてる人なら良いのかと利用申し込みを問い合わせると
「車いすの人はちょっと…」という。
一体どんな人なら入れるというのか?!
なんだかなぁーもぉ(byあとうかい)
グッドタイミングでの和田節。ありがとうございました。もう少しで「傲慢な」「介護業界のどうしようもない」事業所になるところでした。
市内の数ヶ所のデイサービスでトラブルを起こし、もう行くところが限られてしまった利用者さんからの申し込みがありました。いろいろな情報が入ってきて、さてさて・・・と一瞬躊躇していました。担当のケアマネさんが心ある人で、その人が私たちの事業所を選んでくれたのだから、その利用者にとっては、きっとうちがいいところなんだから引き受けよう という思いと、オープンして間もなくスタッフも新人が多く、彼らの心細い思いを聞く中での一瞬の躊躇でした。その晩、和田さんの記事を見て、吹っ切れました。何を迷っているんだろうと自分自身にあきれてしまいました。翌日、スタッフで話し合い、即お返事させていただきました。明日からご利用です。いろいろな情報は、他の事業所が経験したことで、私たちはまだ経験していません。先入観や固定観念でその方を見ることなく、その方と、ご家族の思いに沿って、一生懸命あたってみます。トラブルは事業所にも問題があるのではないかと謙虚に内省する姿勢は持っているつもりです。本気で「デイサービス」を提供します。(ちなみに、断る理由はなかったんです。定員も、営業範囲も・・・)
私は今、入居者さんに対する同僚の言葉による虐待と闘っています。施設責任者には何度となく、相談しています。
改善されずにいます。
ブログに出てきた幹部の方なら、どんな対応をされるだろうか…。
街を見守ってるような植木で、頼もしく思いながらも、どう木を彫塑しているのか、屋根を越えていて、どんだけ木も庭も大きいのだろう?と。
久しぶりにコメントさせて頂きます。
私事ですいません。和田さん及び和田チルドレンの皆様に聞いて欲しくて投稿しました。昨日、行政に当施設に虐待の疑いがある事を通報しました。これから行政指導を受けていきます。これだけでは、よくある話です。私が戦っているのは、保身に走る組織体制です。以前にも拘束や虐待の疑いがあったのですが、行政に通報して襟を正すべきだと会議で進言したのですが、開設間もないので処分は困ると却下されました。もちろん、内部調査は行い委員会で討議して虐待にあたるのではないのか、と現場職員には啓発もしました。幹部職員と呼ばれる人達には、介護現場の根の深い問題である事を話もしました。介護福祉士として私達が向き合わなければならない事は、なんなのか正直分からなくなってきました。某ドラマのセリフを思い出しました。正しい事をしたければ、偉くなれ!!
食事を摂る際に口に入れたものを奥に送り込み飲み込む力が必要だと言いますが、私共のグループホームの入居者の方が、その送り込むことが出来なくなりました。色んな検査をする為不安を抱えながら入院しましたが、結果、「さっぱりわからない」でした。それでもグループホームにいる間は味変え、品変え、形態を変えるなどスタッフも頑張ってくれ、本人もスタッフの必死な顔を見て「食べな悪いかな?」と思ったかどうかは解りませんが1時間位かけて何とか食べておられました。結局、今は鼻注栄養療法になっています。そして、先日、医師より胃ろうの説明があり、家族も受け入れる方向です。何もせず、家やグループホームに帰り最期を迎えることも選択肢のひとつですよって言えなかった私は間違っていますか?「帰れへんかったねえ」と言われた娘さんの言葉が繰り返し聞こえます。
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