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和田行男の「婆さんとともに」

あっちこっち人手不足

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 おいしそう!!! でしょ。
 この季節になると店頭に並ぶさくらんぼ。
 デパートに行けば超高級果実であり、僕自身はこれまであまり食ったことがなかった。
 ところがひょんなことから腹いっぱいさくらんぼをほおばれる環境に身を置くことになった。

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 友人の家は「さくらんぼ農家」であるが大規模な農家ではなく、まさに家内農業規模である。
 それでも収穫期は自分たちの手だけではとうてい足りず、友人知人に手伝ってもらっていた。
 ところが、自分たちも歳をとった分だけ、お手伝いに来てくれていた人達も歳をとり、恒例となっていた人手が高齢で確保できなくなった。
 地元の人に話を聞くと、さくらんぼ収穫の時期はアルバイトの時給がぐーんと高くなるようで、それだけ人手が足りないということなのだろう。
 そもそも収穫期が一斉にくるため、短期間ではあるが超労働力不足の状態になるのはやむを得ないとは思う。
 ただ昔なら、家族の数も多かったし隣近所に人もいたので何とかなったのだろうが、少なくなった若者さえ街へ出てしまい、ますます子どもの数が減り、人口構造全体が高齢化し、友人のところのようにお手伝いに来てくれる人達までも高齢化すると、人手をどこかに求めざるを得なくなる。

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見よこの雄姿 内心は高所恐怖症でびびりまくり

 そんなことで僕に「お手伝いできる人手を探してほしい」と友人から依頼があり、他ならぬヤツのことなので仲間を募り、昨年に続いて「さくらんぼ収穫」にでかけたのだ。
 さくらんぼ狩りが「レジャー」なら、さくらんぼ収穫は「労働」そのものであり、お手伝いとは言え甘くない。
 早朝5時~15時まで、休憩・食事を挟み、ぶっとおしで熟れたさくらんぼを探してひたすら摘む。脚立をあっちこっちへ運び、上がったり下がったり。身体全体を使うので普段使わない筋肉は筋肉痛になる。かなりの肉体労働であり、高齢化は直撃するだろうなと体感できる。
 この国は、世界で飛び抜けた「高齢者大国」となったが、高齢化率が低く出生率が高かった頃と同じ生活は望めなくなるだろう。いずれさくらんぼも収穫農家が少なくなり、一粒2000円なんていう事態がくるかもしれない。
 それはさくらんぼなど食物の話だけにとどまらず、日本の国土自体が保全できなくなり、日本中の豊かな土地が死土となるのではないかと素人ながら危惧している。
 介護業界にいる者は介護業界の人手不足を嘆き、農家は農業の人手不足を嘆き、漁業も林業も医療も…。
 国民生活に不可欠な業種のあっちこっちが人手不足状態になっているこの国の未来はどうなるのか。
 朝一のもぎとりさくらんぼは、眠気を吹っ飛ばすほど美味かったが、決して甘いだけではなかった。

【追伸】
 6月25日NHK総合テレビ「プロフェッショナル」放送に対して、たくさんのコメントをいただき、ありがとうございます。
 放送後、僕の携帯電話に一晩で150通ほどのメールを寄せていただきました。お電話もたくさんの方からいただきました。
 入居している方の家族たちからも温かい言葉をいただきました。
 中でも「もう一度介護に戻って仕事をすることにします」というコメントを5名の方からいただいたことが、とても嬉しかったです。
 また新幹線ホームで見知らぬ男性から「プロフェッショナルに出ていた方ですね。頑張ってください」と励ましの言葉もいただきました。あるお店の方からも「出ていましたね、頑張ってください」と声をかけていただきました。
 皆さんからいただいたコメントの一つひとつにお応えしたいのですが、とても応えきれません。ご勘弁ください。
 ただ折に触れ、直接的ではないかもしれませんが、株式会社波の女のブログも併せて、皆さんからのコメントに触れていければとは思っています。
 本当にありがとうございます。


コメント


遅ればせながら、録画した『プロフェッシャナル』を観ました。正直、介護福祉という仕事には関心も興味もありませんでしたが、番組を観て色々考えさせられるモノがありました。
うちは痴呆家系らしく、ずっとそういった親族を見て育ってきました。出来る事なら、そういう事に関わりたくないとまで思っていました。
今年の春ごろ、僕が小さい頃から世話になった伯母が施設に入ったので会いに行ったのですが、その施設内の寂しい感じと、いさぎ良過ぎる伯母の家族と、何も出来ない自分に何とも言えない無力さを感じました。
それでも、5歳になる僕の息子が、初めて会う伯母に明るくひょうきんに接してくれて、ボケているとは思えない程、昔の僕に接してくれた様に息子とおしゃべりをしている光景を見て、勝手ですが、ほんの少しだけ救われたような気がしました。
その事が番組内で、おばあさんと小さい子供が触れ合う場面でリンクして、なぜか涙が止まりませんでした。
僕は、この世の中は未来を担う子供たちの為にあると思っています。その子供が、これから増え続けるであろう老人や痴呆の方との、いい関係の共存や触れ合いが出来ないのかと考えます。
長年この仕事に携わってきた立場の和田さんはどう思いますか?


投稿者: ひー | 2012年07月03日 03:11

ひーさんへ

 次週か次々週に、先般小学校4年生の前で講演させていただいた時の子供たちの感想文を載せさせてもらい、ひーさんのご質問にもお答えさせていただきます。


投稿者: わだゆきお | 2012年07月03日 09:43

和田先生、こんにちわ。
本当においしそうなさくらんぼ!(普段は高価で
手が出ませんが…)

このさくらんぼが実るまでには、大変な皆様の
努力があってこそなんですね…

今日、私の小規模の利用者のご主人が、前から頼んでいた七夕の笹を持ってきて下さいました。
このご主人、折にふれ、家の畑で採れた野菜を持ってきて下さいますが、ご主人の後継者となると
考えさせられますね…
ご主人も先日、一過性脳虚血発作を起こされているので、ご主人の体調も心配な今日この頃です。


投稿者: 山中 昌代 | 2012年07月03日 11:58

訪問介護の仕事をしています。
いつも考えてしまうことは支援と言う形でできることを取り上げているのかもしれない・・・・・やりすぎてはいないかということです。
和田さんの支援の仕方は私が考えていたことに近く勉強させて頂きました。
時間の制限がある訪問で利用者さんのできることを維持し増やすことができるよう考えていこうと思います。
小さなことからこつこつとですが。
和田さん、お忙しいようですね。お体にお気をつけください。


投稿者: さるる | 2012年07月03日 20:38

ごぶさたしております。

この3月頃から、書類仕事に忙殺され、なかなか動けずにおります。忙しくても、心が亡くならないよう何とかやっております。

日々、思うようにいかないことにイライラしながらですが、少しずつ少しずつ前進している手ごたえも感じています。ありがたいです。

番組見させていただきました。私にすると、和田さんはスーパーロボットだったのですが、泣いたり笑ったりされているお姿拝見し、「あっ、同じことしてるわ。」と妙に親近感を感じてしまいました。
一緒に見ていた家族が色々コメントするので、「あんたもこうなるよ。」と言っておきました。

今後とも、よろしくお願いします。


投稿者: まんまる | 2012年07月03日 22:07

「プロフェッショナル」観ました。
人間として最後まで普通の生活をすることの大事さと、そのサポートをする真剣で暖かい和田さんの姿に打たれました。 

 小さい子に関心を寄せる優しいおばあさんたち、特に子育て経験があるお年寄りたちに、保育園や幼稚園とのかかわりがあると良いのかなと思いました。

 これからも頑張ってください。


投稿者: けいこ | 2012年07月04日 14:26

和田さんのブログ登録させてもらいました
この前初めてお返事させてもらった、28歳大阪のグループホームで働く者です。
人手不足…確かに色々な場所で人手不足ですね。
私の祖父も農家してますが、跡取りが居なくて…私は田舎が好きなんでいずれあの場所が無くなると思うと悲しくなります(-。-;
今まで長年、支えてくれてた祖父や高齢者、その後この受け継がれ無いのって何かもったいないなーって思うばかりです。大きい事は言えないですが、進歩する反面、大切な何かが失われてる気がしてます。昔ながらの製法や伝統、少しでも長く受け継がれたら嬉しいです


投稿者: つくし | 2012年07月04日 20:23

おはよーございます!
昨日、コメント書いたんですが、消えてしまってるのでしょうか…
またコメント書きます(^-^)/
今日も朝がやってきました(-。-;
暑い毎日続きますが、体調崩さず和田さんも乗り切って下さいo(^▽^)o


投稿者: つくし | 2012年07月05日 07:34

和田行男様、ご無沙汰しています。
和田さんの講演を二度、聞きました。
テレビでもよく見ています。
「NHKプロフェショナル」も、介護仲間と誘い合わせてみました。
初めて見た人は「和田さんの熱い心」に感激しました。
今日、仲間で話し合いました。
和田さんは町中に「じいさんばあさん応援ネットワーク」を張り巡らすべきです。
グループホームから出て行ったら、町中で探すネットワークを作って、またテレビで見せてください。
では、ご健闘を祈ります。


投稿者: すもも | 2012年07月06日 18:34

人手、余っています・・・
組織が大きいと考えもしない出来事が突然襲いかかって来るのですね…
一年前の7月1日にオープンさせた小規模泊まり付きデイ。
在宅介護が困難で施設をたらい回しにされて行き場の無い重度認知症の方の受け皿としてや、連れ合いが認知症になってしまったけれども出来る限り自宅で支えたいとフラフラになられている家族へのレスパイトケア的事業所を目指して職員一同頑張って来ていました。
予想もつかないような色々な出来事に直面しても、「人」として携わることを当たり前としていたので、ケアマネ同士の口コミで他市からも依頼が増えて来ていました。
「もうすぐ1周年♪」と喜んでいた6月の半ば。
まさかのトップの交代。
トップは「いいものをつくろう」と事業所立ち上げに協力して下さり、毎晩様子を見に来て下さる、私たちのスーパーバイザーでした。
6月下旬。
組織より泊まり事業は停止の指示。
「どんな状態になっても最後まで支援します」とお引き受けした方たちに「すみません」と頭を下げ、他事業所に変わって頂くことに…。
一気に利用者は減り、1周年を迎えた今。1日2名~4名の毎日です。
1日10名の小規模デイですが、「帰りたい」と外へ飛び出された時の為や、利用者に合わせた支援ができる様に、スーパーバイザーが職員を10人(相談員2名含む)も雇用して下さっていましたから・・
組織は数字を追います。
小規模ではなく、大規模へ転換となるかもしれません。
グループホームは公募が無いので、それに近いものを!と夢と希望に満ち溢れてスーパーバイザーのもと開設したのですが……
すっかり気落ちしてしまいました。


投稿者: moto | 2012年07月06日 19:42

8月に山口県宇部市のココランドでの研修会楽しみにしています。


投稿者: 笹本明菅 | 2012年07月08日 18:32

転職先の方に 和田さんの 録画をお願いしたら 泣けてきた 私も一緒に働きたいと言ってくださいました。
moto様 経営サイドと現場は温度差があります。 それをコーディネートするのが中間管理職と 考えてます。あくまでも理想です。私自身 挫折しましたが。 でも前の職場は とても 良いところでした。今になってそうかんじます。どうか 頑張ってください。応援してます。 行方不明の利用者さんは川にてご遺体で発見されました。 認定症の方でした。 ご本人の 又残されたご家族の苦しみを考えると悲しみが増します。


投稿者: マメ | 2012年07月08日 20:15

マメ様
応援ありがとうございます。
私も以前、管理者兼計画作成担当者として勤めていたGHで経営サイド側とのはざまにバーンアウトしました。
もう、暫く仕事は…と思っていた時に「いいもの作ろう」と言って下さったトップとの出会いがありました。
遣り甲斐のある、やりたい仕事をさせて頂けたこの一年間は本当に幸せでした。(現場職員は、想定外の出来事にアップアップしていましたが^_^;)
今日、泣く泣く、他事業所へ移って頂いた重度認知症の利用者様が、他事業所のギブアップにより舞い戻って来られました!!
6月までの形態とは変わって行きますが…
今は残っている利用者が生き生きと過ごせる様に毎日を頑張って行かなければと思っています。
川でご遺体として発見された方は6月下旬に通所で行方不明となられていた方ですか?
辛いですね。
ご冥福をお祈りいたします。


投稿者: moto | 2012年07月09日 16:23

そりゃ人手不足にもなるよ。こんだけ専門性の高い仕事なんだから。どんまい。どんまい。


投稿者: すみこ | 2012年07月10日 01:16

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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