社長懇談会
僕が勤める法人には、入居系としてグループホーム9事業所(定員142名)と特定施設が2事業所(定員79名)ある。
毎年、入居している家族等(成年後見人など含む)に集まっていただき、法人代表取締役社長との直接懇談会を実施している。
僕が1999年にグループホームの施設長になった時、開設当初から入居者家族と、3か月に一度家族懇談会を開催していたが、家族からは「ありがたい話」しか聞こえてこなかった。
そこで、見学に来られた有識者の人にお願いして「家族相談会」を設けることにした。
家族懇談会のあと、僕ら事業者側は席を離れ、その人と家族だけの会である。家族相談会で家族の声を拾い集めてもらい、時には見識者として意見交換も交え、事業者側に文書で「要望・意見・苦情等」を提出してもらうのだ。僕らはそれを受けて職員間で議論し回答する。
2003年に現在所属する法人に移ってからも、同じように家族懇談会を開催してきたが、部外者ではなく本社に所属する職員たちにその役割を担ってもらい、「相談会」を実施してきた。その後、第三者評価の充実や運営推進会議が開催されるようになり、家族からの意見も踏まえて相談会は廃止し、その代替えとして法人代表である社長に直接質疑できる機会として「社長懇談会」を、年に1回ではあるが開催してきている。
開催1年目から「社長、もっと職員の給与を上げてやれ」なんて声があがり、社長も介護保険制度や経営事情をオープンにして説明するなど、率直に家族等が感じている意見等が出て、なかなかのスタートであった。
今年も昨日開催したが、内容は「派遣でくる看護師の質が悪すぎる」「職員の離職対策を」「胃ろうにしようか悩んでいる」「領収書と請求書を一枚で」といった苦情や意見が出た。
社長だけでなく僕も一緒に回答するが、社長も僕も誠実に実直に応えていく。
この懇談会では、そうした苦情や要望だけでなく、「掃除など家族もできることはすべきだと思う」「制度や報酬改定など家族として応援できることはしたい」といった、「共に」という視点からの声もいただき励まされる。
会が終わった後は、会に出席する現場のリーダーたちも交えて懇親会を行い、より率直な声を聞かせていただく。
懇親会では「言い過ぎたかもしれないが信頼しているから」「医師から、立つのも無理と言われたうちの親が歩けるようにまで快復したのには驚いた」「死について家族も準備が必要という話には感動さえもらった」「どうやってこんな熱い職員集団にできたのか」など、駆け寄って声をかけてくれた。
この懇談会ではどんな質問が出てくるかわからない。成年後見をしている弁護士だって参加している。経営者もいる。以前は同業者もいた。もちろん冷や汗をかくこともあるし、謝ることもある。
会では、こうした質疑応答をメインに、状況報告(今年は、介護保険改定、震災後の取り組み、組織、看取りについての考え方など)もする。
ともすると家族等からの厳しい声から逃げがちだが、どんな声であろうが「婆さんの生活をより良いものにしたい」という共通の願いがあってのことと思えば、どんな声も嬉しく感謝でき、宝物に聞こえる。
まだまだ身寄りがない人を除いて全体の三分の一程度の出席しかいただけていないが、第三者評価の家族アンケート、家族懇談会(今は四か月に1回)、運営推進会議など、現場で実施されることとはひと味もふた味も違うこの会はとても大事だと考えているし、参考にしてもらって、このような取り組みが広がればと願って記事にした。
コメント
「宝物に聞こえる」と言った和田さんの言葉が僕にとって本当の宝物です。正直にまっすぐに現状を家族に報告するということは簡単ではないと思います。事故やクレームに対してこのような和田さんのポリシーがあるからこそ「婆さんは安心!」だとつくづく思います。
本日の和歌山での講演を聞かせていただいた者です。
私は、和田さんの言っている事に非常に共感を覚えましたし、実行していきたい。
ただ、実際に行動に移さなければ、共感したところで意味は成さないとは思います、ですが、現実は、私は一介護職員で、管理者でも経営者でもありません。
私は、なんとしても家族に対して、職員に対して、もっと入居者さんの思いを伝えれる管理者・経営者になり、もっと自由の利くGHにしていきたいと思い、日々、働いています。
長文になりましたが、本日は、本当にありがとうございました。
本日放送のNHK『プロフェッショナル』を見ました。現在大学一年生の女子です。
私は本来、東北にある福祉系の大学を受けたかったのですが、震災の影響で受験できなくなってしまいました。現在は他の大学で、心理学を学んでいます。
福祉関係の職に就くことをほとんど諦めていたのですが、番組を見て和田さんのことを知り、これこそが私のやりたい「福祉」だ、「仕事」だ、と感じました。
専門の大学こそ入れませんでしたが、自力でもう一度頑張ってみたい、という気持ちが湧いてきています。
ここにコメントを寄せることは場違いなのかもしれませんが、どうしてもお礼を述べたかったため長文失礼します。
これから、夢を叶えるためにまた勉強します。そのきっかけとなる勇気と感動を与えて下さり、本当にありがとうございました。
現場をわかっていない。介護の現場はもっと壮絶。あなたの介護はグループホームだけであり、まだまだやれる人を介護してるだけ。接し方も、人の尊厳があるというなら上から目線を控えるべき。騙して連れてかえることが尊厳でなく、自己満である。裁判なんかないの?骨折させたよね?完全裁判よ。病院ではできないような美談だが、病院なしではあなたの施設はやっていけない。お前は目立ち過ぎ。
プロフェッショナル仕事の流儀を拝見し、和田さんの実践されているケアにとても感動しています。
和田さんの昔の老人介護に対する疑問と同じことを私も感じていますし、しかし、尊厳を守るケアにはリスクが伴うことや同じ思いで働く仲間の介護スタッフの育成など困難なことも感じています。それらの困難も和田さんの「こだわり」が乗り越える力になっておられることが伝わってきました。
私はまだ何もはじめていませんが、お年寄りの方のあんな素敵な笑顔に出会えるように、将来、和田さんのように「こだわり」を持ったケアをさせて頂きたいと思っています。
本当にありがとうございました。
今日和田さんのテレビを、見ました。
普通の生活、そしてみんなでいろいろ料理掃除買い物、他では、絶対ないし、みんな活き活きしてました。凄く衝撃でした。自分も、介護の道を目指しています
和田さんは、目標です。
これからも、頑張ってください
賛否両論の意見拝見しました。 プロヘェッショナルも 拝見しました。 感じたことは認知症に関わる時 プロもアマチュアも事がある事 十人十色 関わる事は 自問自答の毎日です。 なんにせよ トップがどういった姿勢をとるかによって 現場で働く姿が変わってくるのは間違いないです。どこに重きをおくのか、 その果てに トップがどう対応し 利用者 ケア側を守るのか、母体が大きいと困難でしょうね。ただ 和田さん自身今も苦しみながら 関わる姿に はげまされました。 ありがとうございます
今日の講義、凄くタメになりました。
まだ、介護の世界に入って4ヶ月の新米ですが、
これから、進んでく道みたいなものが、分かった気がします。
ありがとううございました。
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