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和田行男の「婆さんとともに」 2012年06月

人の「生きる姿」を変える

 「まるで人が変わったようだ」
 よく聞く言葉だが、これには「いい意味で」と「悪い意味で」の両面がある。
 僕らが目指すのは、もちろん「いい意味で」ではないだろうか。

 老人保健施設からグループホームにやってきた源次郎さん(仮名)。
 老人保健施設入所中に会いに行った時は、四六時中施錠されたフロアの真ん中に置かれたテーブルの周りをつたって、何をするわけでもなく歩いていた。
 グループホームに入居してからは、職員に付き添われてスーパーに毎日買い物に出かけるようになり、そのうち自力で歩いて行けるようになり、自分が欲しい髭剃り用の剃刀を毎日買ってくるようになった。
 陽を浴び、風を受け、見知らぬ人々に出会い、好きな物を買い込む源次郎さんの姿は「ふつう」に生きる人の姿だ。



社長懇談会

 僕が勤める法人には、入居系としてグループホーム9事業所(定員142名)と特定施設が2事業所(定員79名)ある。
 毎年、入居している家族等(成年後見人など含む)に集まっていただき、法人代表取締役社長との直接懇談会を実施している。



自問自答

 このあいだ、NHKの「プロフェッショナル」という番組の撮影の中で「和田さんにとってプロフェッショナルとは」と聞かれて答えられず、もじもじした話を書いたが、その後、今の僕の結論が出た。



人と人は「ひとの素」

 人は人によって思い悩んだり傷ついたりすることもあるが、人にとって「人と人」は「人の素」である。



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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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