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和田行男の「婆さんとともに」

ページめくり

 今年二度目の「仕切り直し月」である。

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ちびっこ1号

 他の国のことはわからないが、この国では1月(年の初め)と4月(年度の初め)に二度、スタート台に立てる。経営者ならば「決算月」という仕切り直しもある。
 大人だけでなく子どもたちにとっても、入園・進級・進学・就職といったように次のステージへ移っていく月であるこの月は、桜がパーっと咲くのもあわさって、世間全体がページをめくったようで「白」を感じる月である。
 2012年4月1日ページは、僕の人生の中でも「思い出深いページ」になりそうだ。

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 まずは虐待報道から。
 函館市で引き起こされたグループホーム職員による入居者への虐待は、同業者として国民として許しがた蛮行である。
 仲間からの情報によれば、介護職員2人が入居者5人に対して、平手打ちを喰らわす、土下座をさせる、飯を食わさない、金は盗むなどやりたい放題の様相で、虐待に優劣はないが、まったくもって情状酌量の余地はなく、刑事事件で告訴されてしかるべきひどい内容の事件だ。
 これまで全国各地で、認知症になっても人として生きていける社会を目指し尽力してきた仲間たちの努力を一瞬にして無にしかねないこの事件を決して許してはならないし、自らの戒めにしなければならない。
 事件発覚直後から北海道の僕の仲間たちは走り回っているが、グループホーム事業者と従事者は「起こさない」「起こさせない」「許さない」強い決意で一糸乱れぬ行動をとってもらいたいし、あちこちの事業者・事業所・事業者団体で「戒めと講義の行動」がとられることを期待してやまないし、自らも行動したい。

 さて本題に戻ると、僕にとってこの4月は、居住地名古屋市で立ち上げた株式会社波の女(ホームページを見ていただけると嬉しいです)が、創業二年目にして初の事業所をオープンする記念すべき2012年4月1日である。
 思い起こせば2010年6月1日に、名古屋市の仲間と僕のボスに後押ししてもらって会社を興し、その年9月のグループホーム事業公募に挑むチャンスに恵まれ、12月には公募で選んでもらえるという華々しいデビューを飾ることができた。
 だが人生そんなにうまくいくはずもなく、当初計画では11年10月事業所開設予定だったのが、11年10月工事決定という事態となり、着工後も工事の遅れでヒヤヒヤ・ドキドキしっ放しだった。というのも、今年度中に指定申請をクリアしないと事業自体がご破算になったかもしれないからだ。
 結果的には建築関係者の意地で間一髪滑り込むことができたが、喜びの余裕などまったくない。
 これまで東京でたくさんの施設を立ち上げてきたが、工事のこと、人のこと、お金のことなど「産みの苦しみ」を味わったことはなく、それもこれも「ボスを中心とした企業のチーム力」であるが、それをひしひしと感じた1年半でもあった。
 幸いにも仲間たちが応援してくれているので心強く、余裕がないにもかかわらず、豊かさだけはずっと失わず感じさせてもらっている。ありがたいことだ。
 ここは、認知症対応型共同生活介護(グループホーム滝子一丁目:定員18名)と小規模多機能型居宅介護(小規模多機能・クラブ滝子:定員18名、通い12名、宿泊8名)の小さな複合施設(総称:滝子通一丁目福祉施設 所在地:名古屋市昭和区滝子通一丁目8番の3)であるが、社長以下職員たちが活き活きと「仕事」ができるように後方支援していくのが僕の役目。
 また、ここを本拠地に市民向けの活動を展開していきたいと思っている。
 すでに事業所が存在する昭和区と隣接する瑞穂区の公民館を11か所借り、新聞に折り込みチラシを入れて広報し、市民向けの相談会を開催(8か所20名参加)してきた。
 これまでも株式会社波の女は、専門職向けに400名規模・100名規模のセミナーを4回開催してきたが、こうした専門職向けの取り組みを元手に小さな身近な市民向けの取り組みを年間計画で実施し、株式会社波の女とその仲間たちがもつ専門性を市民に還元していきたいと考えている。これも僕にとっては新たなページである。

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ちびっこ2号
 うちのちびっこ達も大人の力(親の力はちょっぴりかな)を借りて自画像を描けるようになった。
 ちびっこは四六時中ページをめくっており、その「めくり力」には驚かされてばかり。
 僕もちびっこを見習って、最期まで常にページをめくっていける人であれるよう努力し、仲間を紡ぎ、次代を切り拓く専門職人生を歩き、後輩たちに「生活支援者としての誇り」をつなぎたい。
 あと20年はめくり続けられるかな…ハハハ。
 2012年4月1日 56歳


コメント


初体験の ディサービス 利用者さん達の個性の強さにビビりつつスタッフさんに助けられ働く毎日。 利用者さんの愚痴から時折こぼれる弱気の発言。
でも私からしたら 今の家庭の様々な悩みを乗り越えて今に至る利用者さん達は 尊敬に値します。そんな気持ちを持って 接していければ、と勤めてます。 物覚えが悪くスタッフさんには迷惑かけてますけど。
ブログの内容とは違ってすみません。


投稿者: マメ | 2012年04月02日 20:45

わたくし、3月に居宅介護支援事業所を開業しました。開業するに当たり、今までしたことのないことを経験させてもらい、また、いろんな人の助けを貰ってどうにか1か月が過ぎました。
今回の開業で、周りの人あっての自分ということを痛感しました。まずは、家族ですね。小さい子供もいるのによくかみさんが、儲かりもしないこの博打みたいな商売に理解をし承知してくれたなぁ、と思います。同居している両親も、説明してもよく理解できなかっただろうに了解してくれて感謝しています。
そして、今まで付き合いのあった同業の方・前会社の同僚・前会社の役員の方・新しく出会った仲間たち「〇〇さんがするんなら応援するからぜひ頑張って」この一言でどれだけ勇気づけられたか分かりません。これだけの心暖かな人たちが自分の周りにいたことを再確認させられ、たくさんの勇気をもらいました。
利用者もまだまだ少なく経営的にもこれからが正念場ですが、周りの方の暖かな気持ちを受け夢に向けて頑張ります。


投稿者: みたけや | 2012年04月05日 09:02

みたけやさんへ

おめでとう
お互いに応えないとね
睡眠2時間が続きボロボロですが、心は錦で走りましょうね。


投稿者: わだゆきお | 2012年04月05日 13:26

お疲れ様です。和田さんのパワーにはいつも圧巻です。どうしたらそんなふうになれますかね?忙しさのあまり社会で起きている出来事を知りませんでした。グループホームでそんな事件があったとは驚きですが「とうとう起きてしまったか」とも感じます。全国的に介護現場では人材不足に悩まされ、我がホームも正に直面しています。今回の改正では労務管理についても盛り込まれているようですが、どこまで介護職を守ってくれるのか?は明確ではありませんね。虐待は悲しい悔しい出来事ですが、誰もが紙一重だとも思います。自覚していない小さな虐待は毎日やってしまっている気がします。介護職も「人間だもの」…。
今まで必死でやってきたグループホームの仕事を辞めようとしています。気持ちだけはあって行政を変えたいと野望はありましたが、負け組ですね〜(>_<)


投稿者: T | 2012年04月07日 02:46

和田さんのブログは楽しみにいつも読ませていただいていましたが、初投稿にして初掲載、コメントまでいただいて感激です。ありがとうございました。
確かに、体はボロボロですが毎日楽しいですね。新規とか紹介してもらえるとめちゃうれしいですし、自分がしたことがそのまま自分に返ってくるので楽しいですね。
これから先のことを考えると不安も確かに大きいですが、毎日ワクワクしながら仕事してます。


投稿者: みたけや | 2012年04月07日 09:13

Tさんへ

辞めてしまうんですか?
ステージを変えるだけじゃないですか?
この業界にへばりついて一緒に拓いていきましょうよ。


投稿者: わだゆきお | 2012年04月08日 22:36

Tさんへ 辞めても 婆さんズ を愛する限り 苦悩は耐えないような気がします。 私自身 転職後 老健 移動で ディサービスと 自身の対応が 迷える認知症の利用者さんのように毎日過ごしてます。大変ですが 和田さんのブログに支えられ頑張っています。
 目の前にいらっしゃる方々をとにかく あるがままに お手伝いできるように やってみようと思ってます。
大きな事はできない器なので。 慣れ親しんだ婆さんズに 安心して頂けるのは 長年務めた、よき理解者のTさんではないでしょうか? これは私自身の経験ですが。なんの力もありませんが応援してまいます。


投稿者: マメ | 2012年04月12日 21:58

和田さん、マメさん、心あたたまるメッセージをありがとうございます。
昨日は明けで残業後、夜勤者に会う前に帰宅。管理者でありながら、悪い見本ばかり見せています。
眠りから覚めてコメントを読み、涙が止まらないのはなぜでしょうね。まだ諦めたくない自分がいるからです。答えを出すまで、わたしにはまだ時間がありますので、もう少し考えてみます。しかし毎日過酷なのは変わらず、今日も明日も仕事なので…行ってきます!!本当にありがとうございました。


投稿者: T | 2012年04月14日 07:17

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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