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和田行男の「婆さんとともに」

パブコメ

 パブリックコメントって活用したことありますか?
 辞書によると「国の行政機関が新たな規制を設け、またすでにある規制を改廃しようとするとき、その案を公表し、国民や事業者からの意見・情報・専門的知識を得て公正な意思決定をするための制度で、平成11年閣議決定により導入、平成18年改正行政手続き法施行によって中央省庁の法令作成の際に必要な手続きとして法制化。各行政機関はホームページなどで法令案を公表し意見を募集している。」とある。
 意見公募手続きの公的な仕組みであるが、このたびの介護報酬改定に対するコメント手続きの締め切りが迫っている。

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 このたびの介護報酬改定について激怒・落胆している人がたくさんいるが、激怒・落胆する前に何か手を打ってきたかといえば、残念ながら他人任せになっているところがあって「行動はしないが文句は言う」「提案はしないが批判だけはする」という人が圧倒的に多いのが実情ではないか。
 僕も同じような思いはあるが、今の私たちの姿勢や行動を考えると、介護事業者は事業者団体がばらばらの状況にあり、勝負でいえば「負けて当然」としか言いようのない力関係の現実があるため、妙に冷めているところもある。
 ただ、まだ終わったわけではない。激怒・落胆している人たちも含めてぜひとも活用してほしいのが、パブリックコメントである。怒ったり嘆くのはそのあとにして、とりあえずは行動を起こしてはどうだろうか。
 厚生労働省老健局老人保健課は「平成24年度介護報酬改定に伴う関係省令の一部改正等に係る意見募集について」を公募している。締め切りは2月24日必着で、まだ10日ほどあるから時間的には十分だ。インターネットだけでなく、郵送やファックスでも応募できるようだ。
 介護保険事業に従事している人だけでなく、利用者家族でも国に対して制度に対して言いたいことがある人はいっぱいいるが、その人たちにも活用してもらってはどうか。パブリックコメントを知らない人が多いのだ。
 僕も今回はコメントを入れさせてもらおうと思う。なぜなら「パブリックコメントを公募したけど、そのような意見はなかったですからね」と言われてしまうからだ。
 せっかくの仕組みなので活用しない手はない。活用する主体的行動のとれる人が増えることでこそ活きる仕組みでもあり、組織的に取り組むような活用の仕方は、この仕組みの死活問題を生みかねないことも知っておこう。
 ぜひとも一人ひとりが国民の一員として、しかも介護保険事業に従事する者(事業者・従業員)として、より積極的な活用を期待したい。
 パブリックコメントがどれほどの威力があるかは?だが、意見は原則公表であることを思えば、数が多ければそれを無視することはできなくなるだろう。
 ただし忘れてはならないのは、パブリックにコメントするということは、コメントするに当たって関係省令を読み理解しないとコメントできないということだ。単なる怒りの声や嘆きの声を届けることではなく、しっかりと根拠や理由を以ってコメントすることがパブリックコメントであることも忘れてはならない。

パブリックコメントの概要
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■意見募集期間 :1月26日(木)~2月24日(金)(必着)

■提出方法:
意見は理由を付して、次に掲げるいずれかの方法により提出してください(様式は自由)。電話での受付はしない。

(1)インターネットの場合
https://www-secure.mhlw.go.jp/cgi-bin/getmail/publiccomment_input.cgi?mailto=kaigokaitei@mhlw.go.jp
※入力フォームの「※件名」欄に「平成24年度介護報酬改定に伴う関係省令の一部改正等について」と入力すること。

(2)郵送の場合
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省老健局老人保健課企画法令係宛

(3)FAXの場合
FAX番号 03-3595-4010
厚生労働省老健局老人保健課企画法令係宛

■提出上の注意:
提出していただく意見は日本語に限る。また、個人の場合は、氏名・住所等の連絡先を、法人の場合は、法人名・所在地を記載のこと(内容に不明な点があった場合等の連絡・確認のために使用)。お寄せいただいた意見について、個別の回答はしかねる。また、氏名及び住所その他の連絡先を除き、公表させていただくことがあることを、あらかじめ了承のこと。

■資料となる「改正概要」ならびに「改正の骨子」はダウンロードできます。


コメント


和田さん貴重な情報をありがとうございます。事例検討会などに参加するといつも感じることなのですが、「このデイサービスにあと一人介護職がいれば、このBPSDの人のケアがもっと上手くできるのに今の制度では無理だからしょうがない、あきらめよう。」とか、「この人はヘルパーさんと散歩にいけるといいんだけど、ヘルパーさんは散歩には行けなくなったからしょうがないね」とか、地域にこんな資源があればこの人の生活はもっと良くなるのにないからしょうがない。というような場面によく出会います。
 しかし、色んな状態の要介護者、要支援者がいるので、今の資源、今の制度で事足りる人ばかりではないのは当然のことです。
 その様な方に関わった場合は、既存のサービスを利用していただくだけでなく、その方の生活が向上する提案を何らかの形で表現しなければならないと思います。例えば、認知症の方の行方不明のSOSネットワークなど自分達で作れる資源は自分達で作り、制度が変わらなくては解決しない部分は、お上に訴えていく。そこまでしないと一人ひとりのケアは完成しないと思うし、それができるのは、その人と直接関わっている専門家の我々です。しかも今回の改正は自分達の食いぶちにも関わっている問題です。
パブリックコメントはよい機会なので、私は改正概要をよく読み根拠のあるコメントを書き込もうと思っています。


投稿者: 釣りバカ福祉士 | 2012年02月16日 21:34

行政はパブコメをかなり意識しています。
「意見がない=免罪符」という感覚はあるでしょうし、だからこそ当事者や関係者は声を出すチャンスをノーマークで逃すべきではないと思います。
要望がすべてかなうか否かは別として、行政は真摯に受け止めると私は信じています。

私が住むまちでは、地域福祉計画策定に関するパブリックコメントが数件あったと記憶しています。
印象に残ったのは、障碍のあるお子さんをもつお母さんのコメントでした。
言葉はやさしいが、わがまちに期待することを切々と綴られていました。

一方で福祉・介護の専門職だからこそ言える意見もあると思うのですが、同計画でのパブコメでは皆無でした。

福祉・介護専門職は、その技術を磨き、それを利用者にサービスとして提供するのはもちろんですが、よりよいまちづくりのために論理的に(政策)提言することも求められていると感じています。

和田さんがおっしゃるように、私たちの専門分野に関する根拠法令については、ある程度読み解けるスキルは必要でしょう。
大変だけど、頑張りましょう。


投稿者: まえやま | 2012年02月17日 21:20

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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