適おせっかい
おせっかいを辞書で調べると「出しゃばって、いらぬ世話をやくこと。また、そういう人や、そのさま」とあるが、要するに「必要でもないことを、必要以上に、必要でもないときに」ということだ。
支援は「必要なことを、必要な時に、必要な分」であり、おせっかいとは真逆のことを指す。
僕は研修会で「おせっかいではなく支援を」と言っているが、知る人ぞ知る「おせっかい好きな性質」でもある。
名古屋駅からほど近い歩ける距離・名古屋市西区那古野一丁目に「円頓寺商店街」という街がある。ご多分にもれず、かつての栄華は見る影もなく、歯抜けのようにシャッターの引かれた店を見かける「縁遠い商店街」になっている。
実はこの商店街の中に、グループホームがある。また、この商店街に連続する「円頓寺本町商店街」というのもあり、その商店街の中にも同法人が運営するグループホームがある。
今日はそのグループホームの話ではない。この街を歩いていると見かけるポスターの話だ。
そのポスターは、この街の未来を想う有志たちにより、この街を舞台に、この町に生きる人たちを描いた映画「WAYA」のポスターで、僕はこの映画のタイトルがとても気にいっている。
WAYAとは、わや=めちゃくちゃ。
名古屋弁で言えば「わやだがや」、関西弁で言えば「わやや」の「わや」、そう「わやくちゃ」のわやである。
このタイトルもさることながら、チラシの裏に書いてあった「イザという時、本気でおせっかいしてくれる人いますか?」という呼びかけにメチャ感動した。
なぜなら東北大震災の応援に行った帰り道、クルマの中で思ったこととおんなじだったからだ。
「おせっかいしてくれる人をつくらなあかん」
「おせっかいしてやりたいと思う人をつくりたい」
そう考えた僕は仲間に呼びかけ「おせっかいネット=災害時支援法人ネットワーク」を昨年の8月に起ち上げたのは、ホンマにそう思ったからだ。
この映画は「30年間商店街を支えてきた下駄屋のシゲさんを喜ばそうと“旧友との再会”を商店街の面々が企画するのだが、実にありがた迷惑なはなし…」という展開になっており、そこに涙と笑いのドラマがあるということになっている。
世にある「いわゆるサプライズもの」はそのほとんどが「頼まれもしないのに」というおせっかいがスタート地点で、その向こう側に悲喜こもごものドラマを生み、結果として喜ばれることが多いから「サプライズ・ブランド企画」として広まっているのではないか。
自宅であれ施設であれ、そこから何らかの目的をもって出かけた婆さんを「行方不明者」として捜索する周りの人々の姿なんぞは、婆さんから考えれば「頼みもしないのに」とおせっかいな人そのものだ。
でも僕は、その向こう側にある「結果としておせっかいがあればこそ」を広めたいと考えるおせっかいな人でありたいし、おせっかいな仲間を増やしたいと考えている。
かつては「危ないから鍵をかけて出さないことによって命を落とさなくて済む」というおせっかいが主流だったが、それは度を超えた「超おせっかい」で、なおかつ人の尊厳を反故にする根源的な問題をはらんでいる。
ここ数年の傾向は、超おせっかいではなくて、適当な適切な「適おせっかい」の考え方になりつつあり、とても喜ばしいことである。
映画のチラシにはこう書いている。
「…かくして愛と涙のおせっかい大作戦が始まっちゃうのだ!これって古き良き商店街のご近所付き合い?、いえいえ未来のご近所付き合いの理想形です」と。
あちこちの町に「適おせっかいおじさん・おばさん・おねえちゃん・おにいちゃん」を増やしていけば、犯罪も少なくなるだろうし婆さんの行方不明事故死も減るだろう。
認知症のことを知っている知識マニアをいくら増やしてもダメで、認知症への知識はなくても人に関心をもてる人、人に声をかけられるかかわれる人=おせっかい人を増やさねば、コミュニティは形成できない。
和田さん流に言えば、響き合わせがなければ響き合いは成立しないということだ。
そう考えると自分自身が「適おせっかいおやじ」にならなあかんし、適おせっかいおやじは誰でも簡単になれるわけではなく、なるためには「人に社会に関心を常にもち人に関わろうとすること」が必要ということになる。方向感と努力が必要なのだ。
おせっかいも「超おせっかい」が素人のおせっかいなら「適おせっかい」には専門性がいるということか。ハハハ
ご案内
「たっぷり認知症」講演会
主催:株式会社波の女
地域包括ケアが謳われる中「地域包括ケアをヒモ解く」要素がいっぱい詰まった講演会です。
第一部は、「医療と医療、医療と介護の連携・熊本モデル」とも言うべき先駆的な実践の開拓者である池田学医師に基調講演をしていただき、池田さんにNHK教育テレビ福祉ネットワークでおなじみの町永さん、名古屋市内で奮闘しているケアマネさんも加わっていただき「医療と介護の連携」をテーマに深めます。
第二部は、全国各地の「まちぢから」を取材しているNHK町永俊雄キャスターに基調講演をしていただき「町のあり様」をテーマに深めます。
早くから認知症コーディネーターの育成やSOSネットワークを展開してきた福岡県大牟田市でその中心に座っている池田武俊さんと、地域のネットワークづくりに尽力している半田市の社会福祉協議会の方にも加わっていただきます。
全体として盛りだくさんの内容になっていますので体力が必要かと思いますが、とっても時期を得たお得な内容です。
■日時:2012年2月9日(木)14時~20時
■場所:ウインクあいち 大ホール(愛知県名古屋市)
■参加費:3000円
■定員:400名
■第1部:14時~16時40分
基調講演「認知症最前線」
池田学氏(医学博士 熊本大学教授)
討論会 「医療と介護と認知症」
池田学氏
町永俊雄氏(NHK福祉ネットワークキャスター)
現場のケアマネジャー
和田行男(コーディネーター)
■第2部:17時~19時40分
基調講演「認知症を支える町ヂカラ」
町永俊雄氏
討論会 「認知症・町ぐるみ作戦」
町永俊雄氏
池田武俊氏(大牟田市保健福祉部調整監兼福祉事務所長)
社会福祉協議会職員
和田行男(コーディネーター)
■申し込み方法
ファイルをダウンロード
◎波の女ホームページより
http://www.nami-no-onna.co.jp
コメント
外出支援は苦手。危険が多いし予測ができない。切符の買い方や乗り換えも自分自身がわからないから、下準備にバカみたいに時間がかかる。入念に下調べをしても予定変更もあたりまえだからめんどくさ。
でもでも一度出たからには、ぜっーたいにただでは帰らないぞとも思ってます。
ながい階段の上に行きたい店がありました。先に車イスを移動させてくれるひと、説明を聞いて一緒に支えてくれるひと、その間に、もうひとりのばばさんと話をしてくれているひと、見守ってくれるひと…みんなそこを歩いていた街のひとたちです。
ただでは帰らない、というのは、たくさんの親切な人のお陰でうちの入居者さんが目的を達成させられたことなんかじゃなくて
したくても勇気がなくてなかなかできない街のひと達の「適おせっかい心」にひとつでも多く応えることです。
という私の大きなおせっかいです。
和田さんのお話
本当に的を得ていて
例えも分かりやすく
いつも勉強になります
ありがとうございます
また
お話一つ一つに
すごく沢山の愛情を感じます
沢山刺激を頂きました
ありがとうございました
モチベーションも上がりました
和田さん目指して
私も頑張ります!!!。
和田さん、皆さん。
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、私のコメントを載せていただいて本当に有難うございました。
新年早々、スランプもあり、思ったようなケアが出来なく苦しんでいました。
スランプになった原因は「超おせっかい」を絶対に自分が合っていると疑わない心、それを押し付けられ、私は動揺しました。
しかし、やっぱり超おせっかいは不自然であり、おかしいのです。
また「超おせっかい」を押し付けてくる人に会ったら、多少は動揺するかもしれませんが、自分はどういう支援がしたいのかを考え、頑晴っていこうと思います。
今日は、新体制初日、ホーム初の夜勤です。次に繋げていけるよう、御利用者の心のケア、しっかりと支援してこようと思います。
コメントに返信ありがとうございました。そうです和田さんのいうとおり。人に関心がないとおせっかいはできないししようとは思わない、おせっかいしようにも気が付かないんですよね。
以前なぜこの仕事をと聞かれたとき『おせっかいだし人が好き』と言っていたことを思い出しましたが、今は人に関心がいかないのです。だから落ち込んでいるのかもしれないです。年のせいではなさそうです。名古屋行きます。
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