年の瀬
今夜の我が家の主たる取り組みは年賀状づくり。そういやグループホームにいる頃、この時期になると年賀状書きに取り組んだものだ。
事業者として年賀状を出すことではない。入居している婆さんが家族宛てに出す年賀状だ。
たった一枚のはがきを書くだけのことだが、これが意外に簡単なことではなかった。
年賀状の意味を理解している人いない人、文章が書ける人書けない人、字が書ける人書けない人、字がわかっている人わかっていない人、書けてもまっすぐに書ける人はいなかったといえば、その困難さが描けるだろうか。「娘に出しましょうよ」と言っても、本人にとって「娘はいない」となればそこで話は止まってしまうし、年賀状を出しましょうよと言っても「そんもんしらないよ」となれば、そこまで。
そんな婆さんにとって年賀状を出す(書く)ことにどんな意味があるか…。
そんな自問自答をしながら「自筆で家族宛てに書く」ことにこだわって取り組んできたが、こうして夜を徹して年賀状づくりにいそしんでいる我が家の光景を見ていると、年賀状を書くのは「年の瀬」だからで、認知症という状態になり要介護状態になって「年賀状を出すこと」と無縁にさせるのは、年の瀬の準備をしなくとも年が変わる(いつもと何ら変わらず時間が流れていく)特殊な生活に追いやることに他ならないという「時の流れへの支援」へのこだわりからかもしれない。
でっかい夜のクリスマスツリーを見に行く、おせちづくり、紅白歌合戦を観る、正月の町を歩くなど、どんなに手間がかかっても「時の流れを肌で感じる機会を奪うことがあってはならない」と思い取り組んできた。そこはまさに意識的に取り組んできた。
認知症という状態にない僕らは普段と同じように過ごしていたとしても、この時期になれば「年の瀬・ときの流れ」を頭で理解できる。
でも婆さんにとっては「年の瀬にあったことを実感する」ことがなければ年の瀬を感じることが難しくなる。年賀状も含めて年の瀬の取り組みを取り組むことはとても大切な生活支援である。
年賀状づくり、年末の大掃除、おせちづくり、正月のお飾りなど年の瀬の取り組みを職員だけでやらず、婆さん自身が年の瀬を実感できるよう主体的に取り組めるように応援していきたいものだ。
追伸
2011年のブログはこれで終わりです。
ますます曜日がわからなくなってきていますので「和田さんのブログは火曜日に見たほうが確実」と言われるほど遅れがちですが、何とか1年間やってこれました。
これも皆さんの応援があればこそで、応援をいただいていなければモトから断たれたことでしょう。本当にありがとうございます。
今年は衝撃的な災害、事故、事件の年であり、政治不況を感じた年でありました。また、介護保険制度の報酬改定で己のふがいなさを感じた年でもあります。
僕個人を振り返ると、預貯金の底づき、連れあいの幾度かの体調不良、ちびっこ達の3度の入院など辛いこともありましたが、名古屋の会社で初めての事業(セミナー)を開催でき(1月)、初めての本格的災害支援行動を通じてたくさんの仲間を感じられ(3月)、第三子が母子ともに無事に誕生し・気づかぬ間にHbA1c数値が異常上昇(4月)、初めてのライブハウストーク飲酒ショー(5月奈良)、初めてのさくらんぼ収穫手伝で木登り(6月山形)、富士山初登頂(7月)、災害支援法人ネットワーク結成(8月)、なかなか前進できなかった名古屋での事業所建設決定(9月)、超喜ばしいともだちの離婚の知らせ(9月)、初めてのスキンヘッド(10月)、もうできないと思っていた長谷川和夫さんとの笑劇トーク再演(11月名古屋)、トヨタパブリカコンバーチブルとの衝撃的再会(12月名古屋)、初の生餌をつけない魚釣りで1匹ゲット(12月上五島)など、記憶に残る1年でした。
今夜もくり出そうぜ!
番外
大好きだった長崎県大村市にある行きつけの生演奏スナックが今夜で閉店。行けなくて超残念。
マスターは同い年、がんで亡くなった。今でも明るいマスターの歌声とオヤジ駄洒落が脳裏をかすみ元気をくれる。
今夜はマスター他仲間たちが大勢集まって賑やかに演るんやろなぁ。おれも行きてぇーな。
マスターしばしお別れや。また再会しようぜ!!
コメント
久しぶりにブログ見ました。世の中全体が大変な昨年でしたが、和田さん個人も大変でしたね。それなのに毎月いろいろ活動されてさすがですね。
年賀状のことで懐かしく思い出しました。99歳で2年前に亡くなったオシゲばあという方が、出す当てもないのに(身寄りがない)書けないのに(署名をお願いすると「わしゃ書けん」と拒否してました)年賀状を書くと言い筆で大きく一文字『正』と書きました。満州で亡くした一人息子の名前でした。幻覚等ありかなり認知症が進んでいましたが、60年もの前のことを思い出したのです。なぜ、年賀状だったのか?
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