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和田行男の「婆さんとともに」

開花支援

 2011年も残すところ10日余りとなりました。
 今年はこの国に生きる僕らにとって「忘れることはない年」になりました。
 3・11だけでなく、人それぞれに「忘れることはないこと」っていうのがいくつかあるでしょうが、僕にとっては名古屋市で仲間たちと一緒に立ち上げた会社(株式会社波の女)で施設(認知症対応型共同生活介護と小規模多機能型居宅介護)をつくることが決まったことです。

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 措置から介護保険制度に変わって「良かったこと・悪かったこと」があるでしょうが、良かったことの一つに「誰でもが法人を立ち上げて24時間型入居系の施設を造れるようになったこと」があると思っています。
 もちろん「誰でもが」の向こう側にはリスクもありますが、自分の思いを形にして食っていける今のあり様はステキなことではないでしょうか。
 施設のあり様に疑問をもった介護職が、あの手この手を尽くしても「思うようにはいかないもの」ですが、だからといってハードルが高すぎて、誰でもが特別養護老人ホームや有料老人ホームなどを造れるわけではありません。
 でもグループホームなら、自分で会社を立ち上げて、グループホームを建て貸ししてくれる人に出会うことができれば、かなり道は開けます。
 事実、全国各地で活躍している「元介護職、現施設長・社長」はたくさんいます。
 ただし、介護保険制度がスタートした年から5年目6年目の頃と違って「申請すれば認可された」というわけにはいかず、保険者によっては量や建設地域の規制をかけたり、公募方式によってふるいにかけるなど、別のハードルの高さが出てきており、何ら実績のない新規事業者にはなお高いハードルともいえます。
 別の言い方をすると「いつかはグループホームを自分でやりたいんです」って言う若手の介護職たちにとっては鎖国状態になりつつあるということで、早い者勝ち的状況とも言えます。
 また、何も事業実績のない法人にとって資金調達も高いハードルです。
 そんな状況にある中で立ち上げた会社ですが、僕の場合は仲間や応援団に恵まれ、こうしたいくつかの高いハードルを乗り越えてくることができました。
 今はひたすら平成24年4月1日開設に向かって突っ走っていますが、今度は「働く人が来てくれるか」「利用者・入居者が来てくれるか」「お金は足りるか」と、見えない不安にかられる毎日です。つまり、公募で決定をいただいた去年の年末からずっと不安にかられる毎日が1年間続いているということです。
 すでに10月から開設準備室を開き、開設準備に向けた専任者を2名置いて活動しています。
 僕は社外役員(専務取締役)というポジションですが、役員や職員である仲間と「志を形にする」ために、社外の仲間たちの知恵と力を借りて、名古屋に「波の女あり」と思ってもらえる施設づくりに尽力したいと思っています。一緒にやりたいと思ってくれる人がいたら嬉しいです。ホームページが立ち上がっていますので、よかったら見てください。
 こうして「法人設立から介護保険事業所開設まで」にたずさわって思うのは、志のある連中が思いを形にできることのハードルが高くなってきている中で、志のある連中が腐らないように、いま事業を展開している事業者は、職員を事業従事者で留まらせるのではなく「志を開花」させられるよう運営に尽力していかなければならないということです。まさに開花支援です。
 僕も名古屋でのこうした新しい経験を、所属する東京の法人の仲間たちにフィードバックできるようにしていきたいです。
 
ご案内
事業所開設記念講演会
「たっぷり認知症」

■日時:平成24年2月9日(月)14時~20時
■場所:ウインクあいち大ホール(愛知県名古屋市)
■参加費:3000円
■定員:400名
■内容
第1部(14時~16時40分)
基調講演「認知症最前線」 
 池田学氏(医学博士 熊本大学教授)
討論会「医療と介護と認知症」
 池田学氏
 町永俊雄氏(NHK福祉ネットワークキャスター)
 現場のケアマネジャー
 和田行男(コーディネーター)
■第2部(17時~19時40分)
基調講演「認知症を支える町ヂカラ」
 町永俊雄氏
討論会 「認知症・町ぐるみ作戦」
 町永俊雄氏
 池田武俊氏(大牟田市保健福祉部調整監兼福祉事務所長)
 社会福祉協議会職員
 和田行男(コーディネーター)
■申し込み用紙
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コメント


ご苦労様です。
志しや想いを形にする事は非常に困難ですよね。そんな困難に挑戦する和田さんには頭が下がる思いです。
私も日々の業務の中で感じる事や想いが経営側の人間と違う事があり、その都度自分の中で葛藤し良心と戦っています。
以前、和田さんの講演に出席した時に、ご挨拶後に和田さんから、私の会社に対し、
大きい会社だから…
と言われた意味を最近ではよく思い出します。


投稿者: 反吉 | 2011年12月27日 09:52

反吉さんへ

 軸足をぶらさないようにね。
 法人に忠誠を尽くしたらこの仕事はおしまいやからね。
 想いっきり息を吐けば霧は晴れるかも・・・です。


投稿者: わだゆきお | 2011年12月28日 15:08

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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和田行男さんのブログ発第2弾『認知症開花支援』が刊行されました。前作『認知症になる僕たちへ』から2年半――。パワーアップした和田行男のメッセージにご期待ください。
定価:¥1,680円(税込)、10月20刊行
→電子ブックで内容見本をご覧いただくことができます
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和田行男さんのブログ「婆さんとともに」をまとめた書籍が刊行されました。
タイトル:『認知症になる僕たちへ』
著者:和田行男
定価:¥1,470(税込)
発行:中央法規
→ご注文はe-booksから
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