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和田行男の「婆さんとともに」

行政チェック

 法に基づいて運営できているかどうかを定期的に行政チェックする仕組みに「実地指導」というのがある。
 これは、国民からの公金が目的に基づいて適正に運用されているかどうかという面から考えても、とても大切な仕組みであり、国民の一人として頼りにしている。
 今回の原子力発電所の事故にしてもそうだが、それを専門的に監督する仕組みは、わけのわからない僕にとっては命綱のようなもので、その仕組みに期待を寄せるしかない国民にとっては「きっちりと監督してほしい」と願うばかりだ。
 ところが、である…。

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 法が変われば、変わった法に基づいて運営するのは当たり前のこと。だから、変わる前と同じことしかできていなかったら、それを指摘されても致し方ない。
 でも法は変わっていないのに、法の解釈を監督する側が勝手に変えて、そんなことを知らされないままに、それまでと同じようにしていて指摘を受けるのには納得がいかない。
 しかも、それまでも行政チェックを受けていて、それまでは何ら指摘されることもなく歩んでいたことをいきなり指摘されたりしたら、誰もが怒るのではないか。
 介護保険事業では、そういったことがよくある。
 行政の担当者が何年かで異動して代わることの意味は理解できているつもりだが、担当者が代わることで、言われることまで変わることがある。真逆のことを言われることもあるというから驚きだ。また、同じ行政下にある二つの事業所に別々の担当者が来て、あることを片方では指摘され、片方では何も言われないなんていうこともある。
 あるところでは、前の担当者と言うことが違っていると反論したら「前任者はよくわかっていない人だったから」なんて言われたそうだが、それはそっちの事情であって、それを事業者におっかぶせられたらたまらない。
 行政チェックで指摘を受ける際にも、それが文書で出されてくるか口頭かでは随分と受ける側の重みが違うが、勝手に法の解釈を変えておいて「きちんとしていない事業者」というレッテル(文書指摘を受けた実績がある)を貼られたとなると、事業者にとっては死活問題になりかねない事態だけに、やりきれない。
 僕は、解釈を変えることや担当者によって違うといったことは「受け止めれる範疇」であると思っている。でもその時は「これまでが間違っていました。申し訳ないですが今後はこうしてください」というように間違いを認めて修正したり、新たな解釈を持ち込むと説明をして協力を依頼するなどの手順を省かないでほしい。
 最近は、実地指導で指摘された事柄について話し合いをすると「こちらがこれまで間違っていましたので修正することにしました、すみません。今後はこのようにしてください」と言ってくれる役人や「指摘した事項は法令ではなく、あくまでも私の意見でした。ひとつの参考意見として聞いてくださればいいです」と話し合いに応じ、修正してくれる役人が増えてきていると聞く。
 僕は、行政チェックで指摘された事項に対して裁いてくれる機関があれば、もっと健全なのではないかと思っている。行政には事業者からの苦情窓口さえなく、公平に裁く機能がないために、事業指定権をもつ行政に対しては「ひれ伏すしかない」ということが起こりかねない。これでは健全とはいえないからだ。
 行政チェックは国民にとって宝物である。
 宝物だと信じ信頼をおくがゆえに思うのだが、きちんと手順を踏むとか、きちんと分別するなどていねいにやってもらいたい。それが行政にとってのコンプライアンスなのではないか。


コメント


 和田さん、みなさん、こんばんは。

 国民は行政に対して物申すことができない・・。ましてや事業所指定を受けているから、こちら側が弱い立場になりますよね。
 そして、今の国会の間違っていること。総理大臣でさえも辞任させることができない。本当に納得のいかないことばかりです。せめてもの、市役所でおかしなことがあった場合におかしいと言うようにしていますが・・・。改善されたかどうかはさだかではありません。

 実は、私ごとで恐縮ではありますが、今年に入ってこんなことがありました。
 私の先輩で御利用者にもとても優しくて素敵な人がいました。その先輩は異動がありユニットのサブリーダーになりました。私は心から「良かったですね」と伝えました。
 ところが、その後、私は身に覚えのないことで、その先輩から注意を受けます。私が言ってしまった言葉がそのユニットの後輩を傷つけたんだと・・しかし、私に記憶がない・・・。
 「AさんとBさんが、その場を見ていたから」と言われて身に覚えがなかったが、迷惑をかけてしまったのだと思い謝罪した。その後AさんとBさんに、その話をしたところ「全く知らない」との事、それを先輩に話したら「とにかく気をつけてくれればいいから」と一言だけ。本当に腹が立ちました。嘘は良くないし、ちゃんと話してくれればこんな風にならなかったことです。私の後味がどれだけ悪かったかは、御想像の通りです。
その先輩には退社するときに、私が先輩を尊敬してきていたことと、今回のことで本当に辛かったことを伝えました。
 自分も謝罪に関しても日ごろの行動にしてもおざなりなっていないかを振返ります。日々の忙しい支援の中では、それを言い訳にしてついついおざなりになりやすいです。自分自身の行いを振返るということは本当に大切なことだと思います。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2011年08月23日 21:53

みなさま、お疲れ様です。
寺内様、わたくしの気ままなコメント、気にとめていただきありがとうございます。

行政さんとのお付き合い。
ここ数年で分かってきたこともある。
1人1人の方は、概ね親切でこちらの話も聞く姿勢もある。が、法解釈を中に置くとなかなか結論が重ならない。
「?」 「!!!」 「。。。」
となる。
さあどうしたものか。
基礎資格がヘルパー2級、肩書きも経歴もない女がしゃべっても一蹴された。
正直頭にきた。
そうか、根拠を自分で説明できるようにしたらいいかも、と足りない頭に必死に叩き込み、どうしても入らないので法令を、拡大プリントして提示して話をした。
異動直後はチャンス。異動してきたばかりの方よりわたしの方が先輩。窓口に行っては親切丁寧にお話した。
このごろまんまるが「困った、困った。」とつぶやくと、先方から声をかけてくれるようになった。どうもありがとう。
その上のおじさま方はまだまだ遠い。
まるで大きなダムのコンクリートの壁面のような感じ。

最後は 人 対 人
と信じつつ、日々姑息な手を考えています。


投稿者: まんまる | 2011年08月25日 21:00

 和田さん、済みません・・。まんまるさんにコメントしたいです。

 まんまるさんへ

 姑息な手だろうがなんだろうが、自分のためではなく御爺さん御婆さんの為なんですよね・・・。まんまるさんのことだからそうなんじゃないかと思います。心から応援しています。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2011年08月27日 13:25

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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