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和田行男の「婆さんとともに」

よねさんとパソコンの故障

 どうもパソコンに縁がないようだ。再び故障してしまった。
 「パソコンよどっかにいってしまえ!」と思う時があるのに、いないと不便さを感じるし、ブログの更新が遅れるなど他人に迷惑もかける。
 これに似たようなことが婆さん支援の世界でもゴロゴロしている。

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 毎日まいにちグループホームから外に出てしまわれるよねさん(仮名)。日差しの強い真夏であろうとおかまいなしである。
 職員はそのたびに後ろからストーカーのようについていくのだがヘトヘト。婆さんの顔は日焼けで真っ黒な顔、職員もまっくろけである。
 「もういい加減にしてほしいわ。早く寝たきりになってくれへんかな」
 心の中でそうつぶやいたとしても不思議なことではない。
 そんな心模様が、支援策を話し合う職員会議でこんな発言になって表われてきた。
 「大変です。なんとかなりませんか」
 グループホームのリーダーは、表向きにはあれこれ言いながらも、同じ職員として「確かに」と同調する気持ちがないわけではない。でも、グループホームから一歩も出られないようにして玄関を施錠して閉じ込めることには「人として」抵抗があるため、それまでどおり「外に出ればついていく」という支援をすることで押し切った。
 そうこうしているうちによねさんが病気になり、生きるか死ぬかの瀬戸際をむかえることになってしまったのだが、その時に「大変だ」と言っていた職員が泣きながら「よねさん、また一緒に歩こうね」って声をかけたのだ。
 その声を聞いたリーダーは「そうよね。自分のしたいことができる・行きたい所へ行けるって幸せなことよね」と改めて「人として大切な事」に気づき、それを応援している自分に職員たちに誇りがもてたと僕に語ってくれた。

 つい「大変」だとか「無理」という名のもとに、そもそもステキな「あたりまえ」や「いつもと同じ」を奪っていないだろうか。奪おうとしていないだろうか、嫌がっていないだろうか。
 パソコンが故障して使えない状況は、原稿が書けなくても、仕事が進まなくても「仕方がないね」ということにしてもらえ「楽することができる」が、いつも手元にパソコンがあるからこそ、パソコンが設置されている東京の事業所にいなくても自宅にいなくても「やるべきことを滞らせることがない」ことができているということを忘れたらあかんということだ。
 明日手元に返ってくるパソコンに感謝・合掌である。

 ブログの更新が遅れてすみません。


コメント


 当方にとってタイムリーな話題だったので、迷いが吹っ切れました。
 とにかく、出ていく、裸足でも、雨が降っていようが・・・。
 でも、いい笑顔なんだなー。働いてきた手、人を思いやることができる心もまだ残っている。
 なかなか、マンツーマンで対応するのも難しいし、今後の経過もどうなるのか不安もあるけれど、学ばせていただきたいと考えております。


投稿者: 山○県のitou | 2011年06月23日 12:05

こんばんは~~!!
  本日、久々に和田さんにお会いできました。 東京でやっている認知症実践者研修の講師で来ていただきありがとうございます。
前から、3列目でしっかり和田さんの講義聞かせていただきました。
 ぼくも、この実践者研修と管理者研修を終了すると秋にでも、現在のグループホームのホーム長になる予定です。和田さんのように、認知症の高齢者を人としてみております。ただ、自分に管理が出来るかどうかはなはだ、自信がありませんが、頑張りたいと思います。
  最近は、なかなか東京でのお仕事も少ないようですね。また、お子様も3人目がお生まれとの事、おめでとうございます。


投稿者: たなか | 2011年06月24日 00:42

山○県のitouさんへ

ほんまにそう。自分の意思を行動に移そうとするのが人間やからね。それに制限を加えようとする思想など社会の有り様と闘ってきた結果、今の僕らの暮らしの様・生きる姿があるということを忘れたらあかんわなぁ。

たなかさんへ

顔を見ないと思い返せない方ですが、ホーム長ですかぁ。いろいろありますが、国民のためにしっかり仕事ができればいいね。存分に力を発揮されることを祈ってます。
東京の実践者研修は妙に苦手で、妙に緊張するんで、三列目だとまったく目に入っていませんね。ハハハ


投稿者: わだゆきお | 2011年06月24日 10:06

初めて投稿いたします。新潟県関川村での講演会のチラシを見てこのブログを知りました。
アルツハイマーを患っている義父が、最近気に入らないことがあると義母を叩くようになり、少し心配をしていたのですが、チラシ裏面の「まだ見ぬ介護者へ」という和田さんの文章を読み、改めてはっとさせられました。
私はまだまだ修行が足りないなぁ~と。
義父は耳の聞こえが悪いため、常に孤独感も味わっていることでしょう。感謝の気持ちを忘れず、日々接していくことが一番大切なのだと改めて気づくことができました。ありがとうございます。
PS.認知症の父に、日々学びをいただいているので、講演会には行かなかったのですが、このブログの存在を知ることができて良かったです。


投稿者: おくやま はるこ | 2011年06月26日 08:59

おくやま はるこさんへ

 なにかあったらいつでもお声かけ下さい。
 コメントで書けないことはその旨書いて連絡先を知らせてくれれば返信します。
 
 脳が壊れたり、身体が壊れたりすると、思うようにいかなくなります。思うように言っていた自分が思うようにいかなくなると平静でいられなくなるのも無理からぬ事と他人には思ってもらいたいもの。
 まだ見ぬ介護者へは逆に読めば、脳が壊れていない人のおごりへの戒めでもあります。


投稿者: わだゆきお | 2011年06月27日 06:55

お返事をいただき、ありがとうございます。
おかげ様で、義父とは良好な関係を保つことができています。義母はどうしても義父を許せなくて、ムキになって対応するので、義父も手をあげてしまうようですので、「お義母さん、心で思っていなくてもいいから、お義父さんが一番大好き。と言っていると、お義父さんも手を上げなくなると思うよ。」とアドバイスをしておきました。


投稿者: おくやま はるこ | 2011年06月30日 21:00

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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