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和田行男の「婆さんとともに」

僕でよかった

 駅のホームに立ち、ふと思った。

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 もしも僕に祇園の一流芸者のような品があったら
 もっと僕の言っていることは広まったかもしれない

 もしも僕がアナウンサーのように言葉を選んで話せたら
 もっと僕の言っていることは広まったかもしれない

 もしも僕に著名な大学教授のような肩書きがあったら
 もっと僕の言っていることは広まったかもしれない

 もしも僕が友人のようにいつもスーツ姿で容姿を整える僕なら
 もっと僕の言っていることに耳を傾けてもらえたかもしれない

 もしも僕の親が認知症だったら
 もっと僕の言っていることにエビデンスを感じてもらえたかもしれない

 もしも僕が今の僕でなかったら
 僕が今思うことを思えただろうか
  
 僕が一流芸者のように品があっても
 僕がアナウンサーのように言葉を選んで話せても
 僕が大学教授のように学と肩書きがあっても
 僕がスーツ姿で容姿端麗でも
 僕の親が認知症で当事者であっても
 僕の思考・言葉・実行はあっただろうか

 きっと僕が僕であればこそ
 僕の思考があり僕の言葉があり僕の行動がある
 そのことに責任をもち
 そのことを振り返ることを忘れず
 そのことに誇りをもち
 僕が立ちすくむことがないように
 たとえ今日がうまくいかなかったとしても
 僕が僕を励まし続けていこうと

追伸
NHK総合テレビ
10月29日金曜日
午後2時
『お元気ですか 日本列島』

北海道北見市のグループホーム11事業所の入居者約50名と職員20名で構成する合唱団の様子が放映されます。見てください。よろしくお願いします。


コメント


師匠、大丈夫ですか?

言わんとすることは何となくわかりましたが、師匠のスーツ姿は似合わんもんな。

いまのままだから、魅力があるんですよ。

この業界、出入りが激しいので残念ながら、師匠を知らん人間もたくさんいます。活字も読まなくなってきてます。どうやって伝えていくのか。難しいです。
 でも、ぼくら管理者クラスの伝える側が、熱意を持ち続けられればなんとかなるのかな。


投稿者: 山○県のitou | 2010年10月25日 21:50

こんばんは、和田さん。

****************************************************
 僕は誰に何を言われようと思われようと
 僕が僕であればこそ
 かけがえのない人たちと共に生きることができているのであり
 僕に感謝しなくては
****************************************************

すてきな想いですね。

精神保健福祉士の勉強を始めて、某論述問題に対して自分の思いを素直に書いたら、君には実習をする資格がないと言われ、心が折れてしまいました。
格好をつけて難しい言葉を並べて、いかにもそれらしい内容を書くのは何となく嫌でした。

だから、想いのままを素直に正直な気持ちを書いたのに…  きっと私には、和田さんのような ”人間力” が無いからですね。

でも何となく勇気が出そうな気がしてきました。
ありがとうございます。もう少し頑張ってみます。


投稿者: こはる | 2010年10月26日 00:28

山○県のitouさん こはるさんへ

 ありがとう。
 僕が生きていることの意味をときどき、ふと思うことがあります。
 生きていることの中には、人前で話すことばかりではないのですが、その時々のことにふと思うのです。
 そんなときに思い描くのは、自分ではなく自分の周りにいる人たちのこと。
 僕に厳しいことを言ってくれる人、僕に共感してくれる人、僕にとってその誰もが、僕を形成してくれる人たちなはずなのに、ついそのことを忘れてしまう自分がいます。
 このブログは、そんな自分を戒めてくれる貴重なものだと感じました。
 ありがとうございます。


投稿者: わだゆきお | 2010年10月26日 11:51

和田さんが
飾らない和田さんであったからこそ、共有できたと思って頑張ってくることができた仲間は多いはず。
言葉を発することは責任を背負うことでもあり、時に傷つけあうことも。
ただ、和田さんでなければ伝わらない事もあると仲間として感じています。

ばあさん達の「そのひとらしく」を支えていくことは、仲間や自分自身にも置き換えられる。
和田さんが、わださんであるように・・・。

走り続けてきた和田さん、
時には羽を休めて、
公私で支えてくれている仲間や家族との時間も大切にして下さい。


投稿者: なんくる | 2010年10月26日 16:22

 和田さん、まず・・お誕生日おめでとうございます。コメントをかけずに、日々が過ぎていきました。
 もし・・・、和田さんがいなかったら今の私はいませんでした。私・・・泣いています。心に響きました。
 私の勤務する施設、私に何が伝えられたか判りませんが、なんでも職員がしてしまう様を私が見て、後輩を注意したことが発端でうちのユニットはもめました。
 しかし、それからというもの何かが変わったようです。私は先輩に訴えました。自分がそうされたらどう思いますかと、少ししか出来ない唯一のことを奪われたらどう思いますかと・・、もちろん、職員側にはその意識はありません。でも、唯一できることを奪わないでほしいと伝えました。
 和田さん、私は・・・度々、思いました。私に和田さんぐらいのトークが出来たらと・・・。でもここには私しかいないし私なりに勉強して前に進むしかないんだと・・・。ものすごく下手な言い回ししか出来ないけれど、御利用者にとって手探りではあるけれど、最善を探したい。間違ってしまうこと度々あるけれど、和田さんの後に続きたいと思っています。
 和田さんが、今のこの時代にいらして・・・本当に嬉しいし、和田さんがいてくださって本当に良かったです。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2010年10月27日 14:57

今宵(10月27日)名古屋でのお話、ありがとうございました。
いろいろと考えさせられることばかりでした。

この業界に身をおき半年程度での若輩者ですが、サービスを受ける側にとっては、関係ないんですよねえ、つくづく、我が身の至らなさを痛感する毎日です。

次回があるとしたら、手をあげて質問ができるようになりたいと思いました。
そう、和田さんに問われたことがきちんと伝えられるように。


投稿者: ヘムヘム | 2010年10月27日 22:14

だから、もっとライブもやって、
広げようよ。
(何を?)


投稿者: BAT | 2010年10月29日 10:37

職場が変わって仲間が変わった。
恵まれた仲間って、必ずしも同じ考えや思いの集まりじゃなくて、同じ考えや思いにならなきゃいけないということでもないんだと思った。
私は私を上手く伝えたり表現することが苦手だけど、少しだけ勇気をもって、あるとき貫きたいことを私なりに表してみた。
その時共感してはもらえなかったけど、私という人を受けとめてもらえたと感じて、それがとても嬉しかった。
私は私でいいんだと思った。同時に
この人はこの人でいい。と思えるようになった。
仲間になってゆくことの始まりは、こういうことなのかなあと思った。
仲良しクラブじゃなくて、仲間になりたいと思う。
いつか、目の前の(人生の)大先輩達とも大きな仲間になって、目の前の社会と向き合っていることを感じたいです。


投稿者: Anonymous | 2011年01月22日 06:43

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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